わたしたちの体は寄生虫を欲している (ポピュラ-サイエンス)
わたしたちの体は寄生虫を欲している (ポピュラ-サイエンス) / 感想・レビュー
ケニオミ
久しぶりに素晴らしい本に出合えました。人類はその誕生から長く被食者の立場であったため、少しでも危険と思われる環境を脳は極力排除してきた。それが高じて、今まで共存共栄の関係であった腸内の細菌や寄生虫を排除するようになった。そのため、免疫系の活躍の場が制限され、必要のない状況で免疫系が暴れるようになったのがアレルギーだという説明には大いに納得できました。現に寄生虫を体に戻して喘息を抑える方法が有効であることには頷けました。しかし、本書での最大の収穫は、盲腸の働きを知ったことです。驚嘆すべき働きです。ご一読を!
2013/09/09
くさてる
本来、人間は自然との相互作用のなかで進化してきたが、文明の進歩のなかで自然と切り離されたことにより様々な影響が出てきたということを具体的な病名を挙げつつ紹介した内容。ちょっとうさんくさい感もありつつ(マイナスの影響として挙げられるもののなかに自閉症まで入っている)、まだまだこれからの分野ということも伝わってきて、単純な、自然礼賛昔は良かったという内容ではありません。細菌の世界の豊かさ、面白さが一番に伝わってきました。
2013/12/03
あび
人間界から自然が消滅していき、無菌状態とも呼べるほどに細菌や他の生物たちとの接触がほぼ無くなってしまった。その弊害として、体内の防衛反応が過剰に働いてしまい、様々な不具合が発生しているという困難に我々は見舞われている。寄生虫を欲しているとのインパクトのあるタイトルが付いているが、自然を欲していると言える。なかなかの良書だった。HONZにも出ていた様な気がする。
2017/12/03
れい
寄生虫に焦点を当てた話かと思いきや、テーマは壮大で常識にとらわれない新鮮な見解が述べられていて面白かった。人類が生き延びるために排除してきた寄生虫や捕食者だったが、彼らがいなくなったことで人類は悩ましい負債も背負うことになった。ヒトは生物界の頂点に立ち、ヒトは自らが生身の生き物であることを忘れがちだが、われわれは他の生物とともに共生している。 高齢者が細いひも状のものを見てへびだと怖がるのは太古に人類がヘビに噛まれることを避けてきたなごりかもしれない。
2014/02/08
うえ
「ワインストックは、寄生虫を患者の体内に入れたことにより、調停役が力を取りもどし、免疫システムの暴走を止めて、体内の平和を保つようになった、と考えている。とは言え…寄生虫の導入にはコストが伴う。最も懸念されるのは、感染症とそれが引き起こす貧血である。しかし、大抵の場合そのコストは恐れるほどのものではない。寄生虫と戦いつづけるコストに比べれば、なおさらである。まんまと棲みついた寄生虫に対して無闇な攻撃を続けると、エネルギーが浪費されるので、調停役は…免疫システムを説得し…自らの腸を攻撃するのをやめさせる」
2020/12/04
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