熊野曼陀羅
熊野曼陀羅 / 感想・レビュー
ちぇけら
鼻のおくまで濃いかおりがひろがる。熊野の自然、それを見つめる堀本さんの、鋭くて優しいまなざしに刺されて転がる冬晴れの空。ああぼくはこのままねむりにつきたい。五と五につつまれた七になりたくて喉を鳴らす。届かぬ天は高く地面はどこまでもどこまでも。春、「ふらここや臓腑の中の闇揺るる」夏、「花蜜柑ゆかりなき船見送りぬ」「飢渇あり夜明けのやうな薔薇の棘」秋、「秋蟬の尿きらきらと健次の忌」「とんぼうに右ストレートかはさるる」冬、「詩を生みて万年筆の吹雪きけり」「太陽へ向けて猟銃かまへけり」
2019/01/29
なおぞーちゃん
堀本裕樹「句集 熊野曼陀羅」(文學の森)読了。春の句にとてもとても素敵で気に入ってしまった句があり、すぐさま手帳に写した。そして、しばらく字面を眺めていた。一度訪れたいなぁと思っている熊野の神聖さを感じられた気がする。それから、「きらら」が虫であると知ったショック(笑)
2015/07/15
林克也
切れ味鋭い句が、熊野路の四季の景色のなかにポツンと地雷のように埋め込まれた句集。久しぶりに中上健次の”血”にまみれた話が読みたくなった。(堀本さんの術中にハマってしまったか・・・)
2014/05/28
凛
とても素敵な句集だが、装丁がタイトルを見つけにくくしている気がします。 白地に白い文字です。 でも、恐らくわざとなのかなと言う思いもあります。 先生の中に染み込むような熊野曼荼羅なのでしょう。
2019/12/04
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