最後の医者は雨上がりの空に君を願う(下) (TO文庫)
最後の医者は雨上がりの空に君を願う(下) (TO文庫) / 感想・レビュー
そる
絵梨は福原に「諦めないこと」を教え、桐子には「諦めていい、ただあなたを必要としている人は必ずいる」と教える。絵梨は福原の原点であり桐子の原点でもある。両方持った人だったんだ。だからこの2人の根っこは同じなのであって、一方の考えだけでは上手くいかない。両方あってこそ、より良く生きる手助けができるんだ。最後は諦めないはずの福原が父に対し早々に諦めたが、桐子が諦めずまだ治ると言う。役割が反対になった。それでいいんだ。いい話だった。「「あなたの中に希望がないなら、そばにいる誰かの中に、希望はこっそり隠れてる」」
2021/09/11
utinopoti27
桐子と福原、患者の命に対する向き合い方が異なる二人の医師は、なぜそのような考え方になったのか。福原は、病院の院長でもある父となぜ反目しあうのか。下巻では桐子が病弱だった幼少期に、病院で出会う末期癌患者の女性(福原の母親)との交流を通して、医師と患者、家族の在り方を掘り下げていきます。最愛の母を貶めた父親への敵対心を糧に生きてきた福原に、もたらされた意外な真実。そして彼の決断とは・・。深く愛するがゆえに、不器用な生き方しか選択できない人間もいる。雨上がりの空のように清々しい余韻が残る作品だ。
2019/05/23
ぷう蔵
人の生きざま。生きることへの執着、諦め。人を生かすこと、活かすことへの拘り。患者の尊厳、プライド。医者の尊厳、プライド。患者家族の愛情、都合。親の愛情、夫婦の愛情、男の想い、女の想い。子供なりのプライド、親を想う気持ちと親に欲する愛情。上巻を読み終えて人は必ず死にゆく、限られた時間を文字通り「必死」に生きるのがこの世に生を受けたものの務めだと思った。が、皆が同じ尺度で「幸福」を感じるわけではない。感じ方は人それぞれで、何をもって「幸せな人生」かはその人にしか分からない。何に希望を見出すかも人それぞれ。
2018/06/17
machi☺︎︎゛
難病の相手と人生を共にする勇気、形は違うけれど家族を守り想いあう気持ち、医者として相手が誰であろうともあらゆる可能性を信じ助けようとする執念、色々な形の愛情があって受け止め方も様々。父親に対し誤解をしていた福原先生も最後にちゃんと分かり合えて良かった。
2020/06/02
五右衛門
読了。やはり生と死とは?死にゆく人が生きている人に対してどの様な想いを抱いて死んで行くのか、またこれからを生きていく人はどんな想いを受け継いで行くのか。福原先生の父の脳梗塞からの痴呆、桐子先生が主治医となり明かされていく過去、色んな感情が入り雑じり終盤へ。やはり福原先生の母親、元院長の妻がかなり重要な役割ですねぇ❗またこの作者の続編あれば読んでみたいです。
2019/05/10
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