女生徒
女生徒 / 感想・レビュー
Tsuyoshi
とある女生徒の朝起きた所からの一日が描かれた作品。少女の中で展開される様々な思いが頭の中を駆け巡っていく描写は見事であった。時代は変われど大人でも子供でもない何者でもない自分に対する様々な物の考え方に 昔を懐かしむ気持ちになった。
2018/05/22
KEI
「太宰治の辞書」に取り上げられていたので青空文庫で読んでみた。本書は太宰宛に有明淑から送られてきた数ヶ月分の日記を1日に書き換えであるとの事。子供と大人の狭間にある女学生が自己嫌悪したり憐憫したりと揺れる心境が瑞々しく描かれている。「太宰治の辞書」によると、日記をそのまま引用しているという。日記にも【人のものを盗んできて自分のものにちやんと作り直す。ずるさ位でせう。本当に、此処のずるさには、厭になる】と。1つのことを噛み砕いて自分の作品に作り変える小説家も見事だが、この日記の著者の筆力にも感心した。
2018/10/04
ichi
【青空文庫】ある女学生の一日を通しての心の内の苦悩を描いた内容でした。そんなにドロドロしていなかったですね。とにかく読みやすい!今まで「純文学」は理解しにくい。難しい。読みにくい。という印象で敬遠していましたが、全く正反対でありました。どんとん読んでみたい!
2015/02/01
yn1951jp
女生徒の5月1日は『あさ、眼をさますときの気持は、面白い』と始まり『眠りに落ちるときの気持って、へんなものだ。…おやすみなさい。私は、王子さまのいないシンデレラ姫』と終る。女性読者有明淑(当時19歳)の3か月の日記をもとに、思春期の少女の心の揺らぎを描き出す。当時「女性的なもの」を探し求めていた川端が激賞したという。
2014/11/06
yuna☆
ある女生徒の1日。朝の目覚めから始まり、くるくるとさらさらと流るる思考と文体。まんま少女の頭の中って感じ。あまりにも自然に流れていくので、逆に途中で止めるタイミングが見つからない、一気にそのまま最後まで読んでしまう。実際に自分が似たようなことを考えていたかと思い巡らすと、決してそうではないのだけれど、彼女の気持ちはとても分かる。10代の頃の自分に対する嫌悪(時に他者にも向かう)と優越感の相反する気持ち。当時の女学生の暮らしの趣味嗜好の一面が覗けて大変楽し。そして、文体の美しさにほおっとうっとりする。
2017/08/24
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