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野分

野分

野分

作家
夏目漱石
出版社
青空文庫POD[NextPublishing]
発売日
2014-03-10
ISBN
9784864782234
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野分 / 感想・レビュー

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フジコ

貧しさと病を抱え孤独感に苦悩する高柳君。彼が道也先生に再会し、信念や生き方に共鳴して徐々に生きる希望を見出していく過程に心動かされる。対象的に裕福な中野君は、生活も心も十分過ぎる程の余裕を見せるが、悪い奴ではない。荒みきっている時の高柳君の色眼鏡で見ない限り、彼は善人で間違いない。最後の白井先生に対する高柳君の懺悔の形には一瞬疑問を抱く。ではどうする事が正しかったのか。考えてみたが、あの状況下で高柳君が決断できる道としては先生に対しても中野夫妻に対しても他にはなく、結局はベストだったのだと納得した。

2015/06/23

smatsu

主人公白井道也は地方の教師としてスタートするが潔癖な理想主義のせいでどこに行っても現地の人々と衝突、東京に戻って文筆業で身を立てようとする。しかし中々うまくいかなくて奥さんにも文句を言われる。「坊っちゃん」は全体的にユーモラスで主人公も単細胞だが本作は道也の理想主義が現実と折り合わない苦難をまともに描いている。金持ちで世渡りのうまい中野という友人がいて対比させつつ、最後には理想主義が勝つみたいな演説を道也がして盛り上げる。やっぱり「道」に準じ理想に従う方がかっこいいという話のようだが、そう単純でもないか。

2024/10/26

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