惜別
惜別 / 感想・レビュー
かふ
『惜別』は日本文学報国会によって書かれた作品であり戦時中の日本国家を礼賛する内容で魯迅『藤野先生』の本歌取りのような作品である。ただ単純に国策文学的な作品として読んでいいものかどうか?魯迅『藤野先生』では無意識に集団に寄り添ってしまう自己と変革しようとする自我の対立。そこが文学への導きとなっていく。太宰『惜別』は当時の日本礼賛にはなっているが、魯迅をモデルとした学生と太宰らしき学生の群衆からの孤立という共感だ。魯迅は清国を文学によって変革しようと決意して日本を去る。魯迅への共感は翼賛的な日本とは逆の道へ。
2016/06/24
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