津軽
津軽 / 感想・レビュー
A.T
たまたま、次の帰省のついでにと新幹線を途中下車して青森に寄ってみることにしたので手にとった一冊。太宰治は読まず嫌いをこの歳になるまで押し通してきたが、気まぐれとはいえ読んで良かった。友人知人親族らを訪れる太宰の旅行記である。まだ「斜陽」も「人間失格」も世に出す前。まだ故郷津軽に負い目を深く刻んでいる。自らのことを乞食同然の身なりと称す姿で東京からひょっこり現れた太宰を、何の屈託もなく家に入れ酒やご馳走でもてなす人との交流の果て、最後に逢う人との桜の花見へ。ゆるやかに幸福感に包まれました。
2016/12/09
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