道化の華
道化の華 / 感想・レビュー
みつ@---暗転。
*** 学部ゼミ課題作品。後の『人間失格』の主人公と同名の「大庭葉蔵」を主人公に、心中に失敗した彼のサナトリウムでの4日間。合間合間で作者めいた存在である語り手「僕」の発言が挿入されており、太宰の実体験としての女給との心中とも重なり、作中人物と作者の撹乱がなされている。元々「僕」の登場しない「海」という作品への加筆作品であり、その行為にはどのような意図が込められていたのか。時代も坂田山などでの若者の心中が話題になる頃であり、退廃的な心境から心中への志向もあったのであろう。個人的には解釈が非常に困難な作品。
2017/06/23
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