ロマネスク
ロマネスク / 感想・レビュー
Hideto-S@仮想書店 月舟書房
一種のピカレスク小説と呼べるのでしょうか。幼くして神童、長じて怠け者となり、女性にモテようと覚えた仙術を自分にかけた「仙術太郎」。喧嘩の名手になりたくて奇妙なトレーニングに明け暮れながらも喧嘩の機会が訪れない「喧嘩次郎兵衛」。嘘つきの才に恵まれ、罪を犯しても罰せられずに生きてきた「嘘の三郎」。3篇の物語の最後に三人の男は飲み屋で出会い杯を傾けます。どうしてタイトルが『ロマネスク』なのか、読み終えてもよく分からなかったけど、飄々としたタッチのユーモア小説としては楽しめました。この三人は作者の分身なのか……。
2015/01/14
detu
青空は便利だね。ふっと思い出してすぐ読める。「人間万事嘘は誠」
2016/02/26
asanosatonoko
ロマネスクを調べると、文芸においては奔放な想像力によって現実の論理・事象の枠を飛び越えた幻想的な性質を指す、とある。この話には3人の男が出てくるが、荒唐無稽、なんとも信じられない物語的な人物像と半生なのである。3人の半生を語り、最後に出会わせてから、私たちは芸術家なのだ、と嘯くようにして終わるのだが、それこそ、ロマネスク、の骨頂であろうか?現実を飛び越えた人物を語り、これこそが芸術というものなのですよ、ロマネスクとはこういう文芸なのです、とシラーとすまし顔の太宰治が目に浮かぶ。
2019/03/06
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