夜長姫と耳男
夜長姫と耳男 / 感想・レビュー
Tsuyoshi
日々集落の人々が死んでいく事を喜ぶ姫の不条理な言動の数々に主人公の男同様に翻弄され続ける中、男が最後に導きだした答えが「姫を殺さねばチャチな人間世界はもたない」姫の最後の言葉を斟酌すると男は神に選ばれし者という事になるのだろうが。姫は死にたがっていたのか?最後まで理解に苦しむ展開だった。
2018/06/13
kinnov
坂口安吾の描く人のあり方は、モラルや常識やコードに縛られず純粋で真摯なだけに残酷で醜悪だ。夜長姫があどけなくピュアに求める事柄はまっとうな日常から見れば、倫理に外れた酷い物事だが、人の根源のあり方から見ればしごくまっとうな欲求だ。耳男が両方の耳を失って初めて夜長姫の真の美しさを自分の眼を通して知る事ができ、姫を自分だけのものとした事も納得できる。「好きなものは~」と姫に美しく残酷で永遠の真実を語らせる安吾の壮絶な真摯な姿に改めて心が震える。そうだ、世界はなんて残酷で醜悪で、だからこそ愛しいんだ。
2017/08/21
カテータク
坂口安吾作品を読むのは「桜の森の満開の下」に続き2作目。昔話のような題名と導入から油断していると、容赦のない破滅的な方向に話が突き進んでいくという、なんとも恐ろしい作品。狂気や残酷さに妖しげな魅力があるのは否定できない。これも純愛の一つなのかもしれないが、本当に歪んでいる。それにしても、坂口安吾作品は何ともいえない独特の余韻が残る。凄い作家だと思う。
2017/03/27
亮さん
黄金を見にまとう美しい姫。姫のために仏を掘るように言われった仏師。仏師は姫のそばにいる仏を掘ったほうびの女が気に入らない。女に片耳を削がれる。仏師はだが悪い気はなしない。姫はとても残酷でほうびの女にもう一方の耳も落とすと命じる。耳は隠して両方落とされたがそのほうびの女は自殺する。仏師は姫への復讐に蛇を捕まえ殺し、その血を自らが掘った仏に座れる。出来上がった仏の彫り物に姫は大喜び。仏の彫り物は、神と騒がられるようになる。疫病がはやり人々がその仏の彫り物の前で舞をおどるが一人一人と死んでいく。姫はうれしそうに
2016/08/07
きりん
野田秀樹の舞台「贋作 桜の森満開の下」を観劇したので、せっかくだし元になったお話も読もうと思い、青空文庫で。夜長姫の行動や思考がやはり怖くて…。坂口安吾の脳内を覗いてみたい。
2018/11/09
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