夢のなかの魚屋の地図
夢のなかの魚屋の地図 / 感想・レビュー
美登利
荒野さんの小説を読むようになったのは割と最近です。三年前に講演会でお話を聞いてからは、すぐにファンになりました。このエッセイに出てくるお父様との事、ご家族で囲んだ食事の事、素敵で渋い旦那様。デビュー後何年も書けなかった時期があったのは知らなかったです。不倫小説が多いと揶揄されがちですが、美味しい料理の出てくる小説や、元気が出る小説も有るのです。手作りの料理を囲む暖かい家族の姿。それはとても幸せな記憶。今も荒野さんを支える大きな力ですね。旦那様と猫との生活、時々Twitterでも拝見しています。
2016/02/21
なゆ
タイトルがなんだか好きで、エッセイと知りながら読んでみる。24年間分のエッセイを集めたもののようで、長いこと書けなかった時期もあったことや、実家にいたころの生活、作家の父娘の関係、夫婦と愛猫達とのほのぼの生活、食についてなどなどを知る。小説はひんやりしたイメージだったのが、どこか意外に感じられるように。特に食のこだわり関係が面白い。今年は鰤雑煮食べられなかったのを思い出したり、鰤かぶらを作りたいと思ったり。〝とん先〟、うちでは〝先っちょ〟、確かに競争率高し★
2014/02/21
天の川
「キャベツ炒めに捧ぐ」の“ここ家”で供されるお惣菜がとても美味しそうだったのは、荒野さんが料理好きだったからなのね…と納得。最後のエッセイで、“人は最初のことは覚えているけれど、何気ない出来事の最後は曖昧でそんな最後を積み重ねて日々は過ぎていく”とあるのに、ズシリときた。父井上光晴氏や家族との思い出、ご主人と猫との穏やかな日々、書けなかった日々…。今日は明日には過去となり、そこにも様々な最後が潜んでいるのだと考えると、自分の毎日もいとおしくなる。表題作が好きです。
2014/07/12
Natsuko
荒野さん6冊目、初エッセイ。28歳からの24年間に様々な媒体に発表した文章をまとめたもの。陰や棘のある小説が好きだがエッセイもいい。28歳で新人賞受賞しプロデビュー後しばらく書けなくなり2作目は40歳の時だったそう。小説家の父井上光晴氏や料理好きな母、古本屋さんを営む夫について等基本ほのぼの。だが、先に「あちらにいる鬼」を読了し、父と瀬戸内寂聴さんの「特別な関係」を知っていたので、娘として複雑な想いで書いたのだろうという部分もあり。自然体で、でも切れ味は鋭く、時々拗らせている荒野さん、さらに好きになった。
2020/09/12
しん
面白かった。家族の話とか、食べ物や猫の話など、幅広い。エッセイは著者の性格が出るような気がするので、その点が面白い部分でもある。初エッセイ集らしいけど、次のエッセイ集が早く読みたいと思うくらい。あまり書かれていないようなので、次はいつだかわからないようだ。
2015/05/14
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