三博四食五眠
三博四食五眠 / 感想・レビュー
ホークス
2017年刊。阿佐田哲也=色川武大の未刊行の食エッセイ。危なくて面白い。戦時の配給でカボチャの粉には蛆が、大豆粕には細い虫が大量に湧いた。虫を除けると半減するのでそのまま食べてしまう。昔のひどく不味い店とか不潔な店の話に惹かれる。事業や自己実現じゃない情実の店は、誰でもやれそうに思えて痛快。不思議な迫力を発する食い物は、著者好みの過剰な努力や気魄によってできている。博打うち時代の話はクズだけど、依存心の表れと思えた。人間は煎じ詰めれば同じだと突き放しつつ、自分の依存心は相対化しようとする青っぽさが好き。
2024/05/12
しーふぉ
マンガの麻雀放浪記の原作者のイメージが大きな阿佐田哲也の食べ物に関するエッセイです。文章が上手く読ませます。
2023/05/28
DEE
ナルコレプシーというやっかいな病を抱えていた阿佐田哲也こと色川武大。 もちろん雀聖と呼ばれたギャンブル狂の男でもあるが、それ以外の時間は専ら食べることに費やした大食漢でもある。 そんな著者の食にまつわるエッセイ集がつまらないわけがない。 開高健が高級かつ珍味だとするなら、阿佐田哲也は庶民的かつ独創的と言えるかもしれない。 なぜか人を惹きつけてやまない不思議な魅力を備えていたという著者の食に対するこだわりと愛が詰まった一冊。
2017/10/02
ライム
発表時期が様々な食の随筆でバラエティ豊か。まだ若い時分の博打で生活してた頃、蕎麦屋のかけそばに唐辛子を容器分全部入れて食い、しばしの食費を浮かす荒技にあきれるが、大勝負に出る前に入った鰻屋での芸術的な料理に感動するくだりは美しい。たかが食べ物、でも凝りに凝って造られたら迫力が出る。人の心を打つのものは、合理的とは逆の無駄な力、あの万里の長城だってそう…の凄い飛躍が面白い。読後、もっと食を大事しようと思い改めさせる力があった。
2024/03/30
てらさか
食べたもの記録の量が結構すごい。七味好きなので、話に出てきた「蕎麦に一瓶かけて食べて、2,3日絶食する(胃が荒れてるから)」は怖くなりました。私も気をつけなくちゃ。
2023/02/09
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