私は小説である
私は小説である / 感想・レビュー
しゅん
佐々木敦の最高傑作。小説の読解が生の豊かさを導いている。小説は逃避でも暇つぶしでもあるが、それ以上に世界の別の感じ方を開く力を持つ、つまり読者の世界を塗り替えるものであること。そのことを信じさせてくれる言葉の強度。特に小島信夫論と小沼丹論。
袖崎いたる
幻戯書房の文学関係となったら間違いない。タイトルがフックになっている小説批評の集成。冒頭のベケット/小島信夫/保坂和志のくだりが特に良かった。蓮見重彦のはお疲れ様ですといった印象。筒井康隆、磯崎憲一郎、坂口恭平に関する批評はグッときた。
2021/01/25
Mark.jr
タイトルからにして、いかにも著者の今までの著作のようにメタフィクション・パラフィクションをテーマにしたものと思いきや、取り上げられている作家は円城塔や筒井康隆などのその手の作家から、村上春樹や小沼丹などかなり幅広いです。後書きで著者も書いている通り、同じようなことを何度も繰り返し書いているような本ですが、小島信夫や小沼丹などあまり読んだことのない作家の本にも、興味が湧きました。
2020/03/22
ロータス
小島信夫とベケット、小沼丹、大江健三郎VS村上春樹と縦横無尽に繰り広げられる批評が面白かった。佐々木敦は初めて読んだが、批評する対象に愛を持って接しているのが好ましく感じた。
2019/12/31
水紗枝荒葉
佐々木敦の評価は二分される。素人好みかというとそんなことはなく、かなり批評慣れしている人からも「佐々木敦良いよね」という声を聞く。さて、私は本書を面白く読めなかった側である。本書の作品分析は表層的な構造の整理にとどまり、しかも表層のテキストにこだわり続ける集中力がない。武器の少なさ、折れた直剣で小説に挑んでいるようなナイーヴさを常に感じる(特に人称とリアリティに関しては先行文献が山ほどあるんだから独自研究する前に読めと思う)。なんなら著者が小説のどこが好きなのかいまいち伝わってこない。
2023/10/12
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