フラッシュ: ある犬の伝記 (ルリユール叢書)
フラッシュ: ある犬の伝記 (ルリユール叢書) / 感想・レビュー
やいっち
「19世紀の英国詩人エリザベス・バレット・ブラウニングの日常模様が、 愛犬フラッシュの目を通して語られる、ユーモア溢れる伝記小説」というものだが、ウルフが犬好きなのか微妙。そもそもある犬の伝記という題名なのだし。どう見ても愛犬からの視点ではない気がする。語り手を愛犬にすることで、バレットの生活の他人には窺い知れない細部まで描いても不自然ではないということだろうが、フラッシュがイヌっぽくない。
2021/11/24
かもめ通信
Uブックスの出淵訳と読み比べするつもりで手に取ったのだが、この本の魅力は、本篇だけでなく、附録として収録されているウルフの「忠実なる友について」と、エリザベス・バレットの詩「わが忠犬、フラッシュに寄す」、さらにはウルフとバレットそれぞれの年譜に、巻末の「訳者解題」、これらすべて、あますところなく味わえるところにあった。それにしても“彼の美徳を忘れはしない---そもそも犬には、欠点などあまりないのだが”って、ウルフ、めちゃくちゃ犬好きじゃないか!!
2021/05/22
Biofeedback1961
われわれが大枚をはたいて動物を購入し、それを自分のものだなどと言うのは、どこか無鉄砲であるだけでなく、向こう見図でもある。 と『忠実なる友について』の冒頭でヴァージニアウルフは書いている。 吾輩は犬である、バージョンだが、とても自己主張をしないで、淡々と物悲しい、フラッシュという名の犬。老犬になる。 猫派、犬派、どっち。
2022/03/15
mamei
犬であるフラッシュの身体感覚が鮮やかに描かれていたのが印象深い。フラッシュが誘拐されて監禁されていた時の、柄の悪い地域の描写が、ウルフ作品の中ではなかなか珍しいんじゃないかと思う。中盤以降の、暗くて専制君主がいるイギリスと陽の光と愛に溢れた自由なイタリアの対比も面白い。『フラッシュ』が書かれた1930年代のイタリアはすでにムッソリーニがいたのだから、ヴィクトリア朝のイタリアとは違っていたんだろうけど。
2022/03/11
Biofeedback1961
われわれが大枚をはたいて動物を購入し、それを自分のものだなどと言うのは、どこか無鉄砲であるだけでなく、向こう見図でもある。 と『忠実なる友について』の冒頭でヴァージニアウルフは書いている。 吾輩は犬である、バージョンだが、とても自己主張をしないで、淡々と物悲しい、フラッシュという名の犬。老犬になる。 猫派、犬派、どっち。
2022/03/15
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