仮面の陰に あるいは女の力 (ルリユール叢書)
仮面の陰に あるいは女の力 (ルリユール叢書) / 感想・レビュー
星落秋風五丈原
『若草物語』のルイザ・メイ・オルコットが書いた煽情(すごいなこの文字、煽るんだ情!ってカンジで)小説。スリラーと書いてあったけど、別に誰かを再起不能にするわけでもないからなぁ、心理サスペンスとかスリラーではない、あくまで現代感覚だと。マーチ家がテーマの作品を読んだことがあるが、あのお堅い世渡り下手のおとーさんから生まれた子がこういうのを描くのは、生まれた時から教えられてきた倫理観とかいろんなものをボキボキ折ってきたんだろうなぁ…と思う一方、まあ、プロなんだからオーダーに応じるのもある程度大事だよね、とも。
2021/06/14
松本直哉
新任の家庭教師として好奇の視線を浴びて登場する幕開けから、全員の怒りの視線を浴びて退場する幕切れまで、まるで舞台女優のような女主人公の、一挙手一投足は周到に計算され、社会的地位の低い女性という二重のハンディをはねのけ、家族全員を翻弄しつつ最後には成功をつかみ取るまでの過程が鮮やかだ。力や地位で劣っても、言葉の力で人を魅了し人を貶める手練手管が小気味よい。ソローやホーソーンと親交があったという著者による、自覚的に自立し主体的に行動する女性像は、『緋文字』のヘスターや『ジェーン・エア』の主人公をも連想させる。
2021/06/20
かもめ通信
恐ろしいより驚いた!?『若草物語』の作者オルコットが、男性作家の名前で執筆したというスリラーは、あの『ジェイン・エア』のオマージュにもなっている面白すぎてやめられない!ロマンティックサスペンス!?
2021/04/05
ズー
読み終わったあと、作者の年譜が結構なページを占めていて、何この本😳て驚いてたら、若草物語の作者だった!なるほど若草物語イメージだけど、こういったものも書いてたんだね。俄然捉え方が変わってきた。ルイザは若草物語で大成功を収め、ジョーはほぼルイザのことだったんだね。それも知らなかった。こうゆう作品書く方が好きだったらしい。話としてはその目的のためにそこまでやるのか!って感じで、ミュアの能力のすごさに圧倒された。すごい才能だよね。
2021/08/12
イエローバード
イギリスの名門一家にやってきた若い女性の家庭教師ジーン。彼女は歌も話術もすばらしく、一家はたちまちその虜になり、ふたりの息子は相次いで求婚までするが……。いわゆる〝魔性の女〟系だが、最近読んだ『レイチェル』に比べると、スカッと爽やかな読後感でとっても良かった。著者は清純小説『若草物語』のオルコットだが、大学教授の訳者による解説を読むと、単なるエンタメではなく、身分やジェンダー差別を批判した社会派でもあるよう。どピンクの表紙に一瞬ひいたけれど、読んで良かったな。
2021/06/13
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