満天の花
満天の花 / 感想・レビュー
のぶ
幕末を舞台にした本は今までに多く読んできたが、当時の時代の流れを、これ程詳細に描いた作品は初めてかもしれない。話の中心となるのは、長崎でオランダ人商館員と遊女との間に生まれた少女、花。わずか8歳で通訳の仕事を始める。もう一人の主人公は勝海舟。彼と出会った事で、花は激動の歴史の渦の中に投げ込まれる。長崎の遥か彼方で起こった、ペリーの来航から時代は進み、花は勝に付き添って各地を旅する。この本の魅力の多くは、花の健気さだと思う。この時代を外交の視点で捉えた物語は、とても面白かった。長いが読んで良かった。
2021/05/22
ゆみねこ
幕末の長崎出島のオランダ商館員と丸山遊女との間に生まれた青い目の少女・梶花が8歳から出島で蘭語を学び英語露語もマスターし、通詞として生きたという設定。勝海舟メインの幕末史ととらえた。長かった。
2023/03/04
kei302
幕末の外交と青い目の女性通訳。船に乗れないとか、因習慣習にはウンザリですが、それを軽々と乗り越える、佐川さんの想像力に感服。 「どれほど離れた土地で生まれた男女が出会ってわたしが生まれたのかを、わが身でかんじたい」 ラスト、花さんが外国に行ってしまうのでは…とドキドキしましたが、杞憂に終わる。
2021/06/19
kawa
幕末の長崎・出島のオランダ人と丸山遊郭の遊女の間に生まれた娘・梶花(フィクション/シーボルトの娘・イトを連想)の通訳としての活躍を、勝海舟と幕末の軌跡に合わせて描く。場面々々や、登場人物の評価にそういう見方もあるのかと興味深く読めるのだが、盛り上がりどころに乏しく長編作で何度も休憩を入れながらの読書となった。(作風・内容がまったく異なる著者の私小説風「生活の設計」を読んでの本書)
2022/10/29
rosetta
★★★★✩満足した読書体験だった。何時もはナイーブな内面を描く事の多い作家さんのイメージなんだけど今作は大河歴史小説。長崎出島の和蘭商館員と遊女の間に生まれた青い目の少女梶花。8歳で出島に通い蘭語を覚え、長じては英語、露語まで自由に使いこなすようになり、様々な歴史上の重大場面で通辞として立ち会う。幼少の頃から親しんだ勝麟太郎の薫陶を受け広い視野と柔軟な考え方を身につける。実在の人物ではないんだよね?日記にも残せない秘密とか書いてあるんだから。でもまるで本当に生きてそこに居たかのように生き生きとしている。
2021/07/28
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