ケアとアートの教室
ケアとアートの教室 / 感想・レビュー
佐島楓
東京藝術大学が行っている「DOOR」という社会人向けのプログラムの紹介。ケアとアートがどう結びつくのだろうと思ったが、視点を何十度も変えられた本だった。特に障害を持った方やお年寄りの介護という点で、ケアする人・ケアされる人という関係性の固定化を、関わり方を変えることで変化させることができるというところに知らず知らずのうちに自分の抱いていた偏見が破壊された。新しい視座をひらいてくれる本だと感じたので、強くおすすめしておきます。
2022/05/20
けんとまん1007
目から鱗とはこの本のことだと思う。ケアとアートという二つの概念からして、自分の認識を遥かに超えている。いかに、視点・思考・視野の広がりが、まだまだなのかということ。人と人、人の環境・建築物、人と社会・世間との在り様がどうなのかを考えること。共通して述べられているのが、二つの概念の親和性。自分の中の重要なキーワードである利他と通じるところがあるようにも思う。境界線をひきたがる社会、その曖昧さを排除する・あるいは耐えられない社会と、その傾向が強くなっているからこそ重要な視点だと思う。
2022/03/30
joyjoy
アート=創造性。「…ひとはどんな苦境においても、そうした創造性に小さな喜びや希望を見出し、自己と向き合い、ときに他者とそれを共有することで、ひとはひとらしくあり続けることができ、「生きよう」とする思いをも強くできる」。「アート×福祉」をテーマにした、多様な分野の専門家による講義。自分も受けてみたい。「共に」のかたちも様々。わくわくした。どれも興味深かったが、六車由実さんの「介護民俗学」について、もう少し知りたくなった。「プリズン・サークル」坂上香さんの修復的司法の話も、またここで出会えてよかった。
2023/11/02
オフィス助け舟
DOORは、東京藝術大学が開設している主に社会人を対象とした履修証明プログラム。「アート×福祉」をテーマに学習プログラムが組まれる。本書は、DOORで行われた講義の一部紹介を通じて、芸術と福祉がいかにかけ合わさり、社会に寄与する可能性があるかを感じさせる内容。ホームレス支援やLGBTQに関する情報発信、介護施設、罪を犯した人と社会の共生など、それぞれ独自のテーマでの活動がされていて興味深い。老いや障害や犯罪、社会格差といった苦しみの中から芸術が生まれて、それが彼ら彼女らのケア(福祉)につながっている。
2023/10/07
しまかな
神楽坂のかもめブックスにて購入。 わたしにも、今後を生きる人たちにも、"これは教科書となるべき"と言いたい1冊でした。現場のリアルと実践、目指すべきとその根拠となる理論が詰まっていた。まだ考察には至らないけど、メモ程度に。 ・老いやぼけを演劇を通して楽しむこと。"「いまここ」を共に楽しむということです。"p149 ・ケアの本質。"ナイチンゲールは「ケアとは科学であり、アートである」といっています。解剖生理学的に実践を行う、一方でそれぞれのひとにとっての最善を創意工夫して実践していく(…)"p179
2022/08/20
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