翻訳、一期一会 (翻訳問答シリーズ)
翻訳、一期一会 (翻訳問答シリーズ) / 感想・レビュー
taku
シリーズものとは知らなかった。課題文を互いに訳出しあうのだけど、再翻訳と重訳による言語横断的な比較も行っていて、対談では訳者の解釈が聞けて刺激がある。翻訳は言葉の裏側にあるニュアンスや、その人が感じ取った匂いや手触りによる演出なんだな。言葉は自由だから、楽しくて難しい。最後の鼎談では台湾語と文学から、台湾と中国、日本との歴史的関係もうっすらと透ける。シリーズ1、2も読んでみたくなった。
2023/05/21
Inzaghico (Etsuko Oshita)
ダイアモンド✡ユカイとの翻訳対決のお題は「ホテル・カリフォルニア」! 歌詞の翻訳がそのまんま二人の世界になっている。ユカイは、この歌はウッドストックにとらわれし者(そしてまだそこから出られない者)たちの歌という解釈で、歌詞に登場する女性は堕天使でジャニス・ジョプリンを想定したとのこと。ジャニスに堕天使のイメージはあんまりなかったけど、力説されるとそうかも、と思えてしまう。この曲の冒頭のイメージのようなラスベガスの光景を目撃したときの話とかLAへの思いには超同意! 影/陰がないのよ、カリフォルニアには。
2022/09/16
takakomama
歌詞のような言葉の数が少ないのは、翻訳が難しそうです。翻訳家は外国語と日本語の単語のニュアンスの違いをふまえて言葉を選び、句読点や語順にこだわっています。原文に合わせて、いろいろな文体で訳してすごいなあと思います。日本の古典の翻訳や重訳から訳すのも興味深かったです。公用語が外国語という状況でなく、日本語ができれば困らないのは幸せなことだと思いました。翻訳問答シリーズ第3弾だそうで、1弾2弾も読みたいです。
2022/11/06
Nobu A
この1週間程で「翻訳問答」シリーズ全読了。アマゾン・ワンクイック購入のお陰。片岡義男との対談から読んできたが、流石に無理が出てきたように感じる。期待値が高過ぎたかな。今回は翻訳実績がある美術家やミュージシャンまで登場し、翻訳から脱線する話も散見。作家、多和田葉子と同じ翻訳家の斎藤真理子との対局は興味深く、特に後者には興味を持ち早速著書を購入。気になるのは秀逸だったタイトル副題の対訳が凡庸になり今回は消えてしまったこと。次はあるのかな。もう終わりにして欲しいような、まだ読みたいような。鴻巣友季子著書8冊目。
2023/04/02
法水
待ちに待っていた翻訳問答シリーズ第3弾。今回は横尾忠則さんと「風に吹かれて」、多和田葉子さんと『枕草子』『おくのほそ道』、ダイアモンド☆ユカイさんと「ホテル・カリフォルニア」、斎藤真理子さんと『風と共に去りぬ』と対談相手の顔ぶれも扱う言語も多種多様。呉明益さんと温又柔さんとの座談会も収録(通訳は故・天野健太郎さん)。中では、やはり横尾忠則さんの言語感覚の鋭さに改めて感嘆。「個」と「個人」の違いなんて考えたこともなかった。
2023/01/11
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