KADOKAWA Group

Facebook X(旧Twitter) LINE はてブ Instagram Pinterest

沈黙の声

沈黙の声

沈黙の声

作家
遠藤周作
出版社
青志社
発売日
2017-11-17
ISBN
9784865900552
amazonで購入する

沈黙の声 / 感想・レビュー

powerd by 読書メーター

夜間飛行

踏み絵に黒い足指の痕を見た著者はその後も長崎をたびたび訪れ、信ずるものを足で踏む行為について考えたそうだ。そして自らと似た弱者を小説の主人公に選んだという。キチジローの裏切りや〝戻ってくる心理〟(日本に、そして彼が役人に売ったロドリゴの所に)を自身のことのように述べており、作家の胸にはいつも人間が生き蠢いているのだと思った。ロドリゴが踏み絵に足をかけた時に鶏が鳴いたこと、切支丹屋敷で二度目の誓紙を書かされたことなど、一つ一つの細部や風景描写にまで痛みと愛情を込めながら書いていることを知り、感動させられた。

2024/11/09

優希

周作先生のキリスト教に関する文章がおさめられていました。そこには神が応えないことへの叫びが込められているような気がします。キリスト者としての聖なるイエス、母なるマリアへの声は全てのキリスト者の代弁と言ってもいいかもしれません。

2017/12/05

ネギっ子gen

70歳を目前にした著者が『沈黙』の舞台・長崎の旅を終えてのエッセイが、冒頭の「沈黙の声」。そこで以下のように書く。「おおげさなタイトルは嫌いな性格なので」、はじめ『沈黙』ではなく『ひなたの匂い』と題したが、出版側に「これでは迫力がない」と言われて、しぶしぶ改題。結果、困ったことに。読者が「これは神の沈黙を描いた作品」と誤解した。著者の意図としては、「神は沈黙しているのではなく語っている。そういった「沈黙の声」と言う意味をこめての『沈黙』だった、と。確かに、今現在に至るまで、著者のこうした意図は通じてない…

2020/01/25

kanata

『沈黙』という題は周囲の意見で、遠藤氏には他案があったそうだ。そしてその意味もまた「神の沈黙の声(語り)」ではなく「神は沈黙していた」と広く解釈の誤解があったことが悔やまれると零す。読んでいるときは、もろ解釈の誤解のほうで読んでいたので、この本で氏の意図を知る。今年は五島へと隠れキリシタンを辿る旅をしたこともあり、氏の基督教に対する感じ方に興味をもっていた(それほど読んではいないけれど)。三浦朱門との旅を日記形式で綴るページを捲りつつ、長崎がなぜ氏にとってもわたしにとっても懐かしいものなんだろうと考える。

2017/12/23

スリカータ

新刊の著者に遠藤周作氏の名前を見つけて、半信半疑で手に取った。亡くなって20年以上経つが、確かに遠藤周作氏が書いたものだった。拷問に耐えられずキリスト教の信仰を捨てた者のその後を追い、隠れキリシタン部落を訪れ、幼少期の母親との思い出を綴ったものもあり、様々な随筆の寄せ集めではあるが久々に読んだ遠藤周作氏の文章に懐かしさがこみ上げた。学生時代に遠藤周作氏の作品に嵌って、殆どの作品を読んだ。こんな形で再会出来るとは。

2018/01/02

感想・レビューをもっと見る