映画の感傷 山崎まどか映画エッセイ集
映画の感傷 山崎まどか映画エッセイ集 / 感想・レビュー
アキ
映画のパンフレットは日本だけのものらしい。著者は80本近い映画のパンフレットに原稿を書いてきた。女性の登場する映画ばかり、少女と女性、思春期、ロマンス、都会がキーワード。同じ映画好きでもジャンルがあって、こんなに個人的に観た映画がかぶらないものかと、著者の女子目線が新鮮に映る。『17歳』『ブラック・スワン』『ラブストーリーズコナーの涙』『ラブストーリーズエリナーの愛情』『シンプル・フェイバー』など観たい映画も盛りだくさん。最後に著者の選ぶ女子映画大賞2011-2018が載っていてほぼみてない(当然か)
2021/05/22
踊る猫
「感傷」? そんなセンチメンタルな文章が収められているだろうか。確かに山崎まどかの文章は大量の固有名詞を投げ込んで、一部の読者(乙女/女子か?)に「分かる~!」と言わせて他の読者は遠ざけさせるという不親切さがあるように思うことがある。だから閉鎖的な文章……と切り捨てて終わりにしても良いものかもしれないが、私は山崎の文章を愛する。山崎がシネフィルだとは思わないが、とことん対象と真摯に向き合い、四つに組むほどの意気込みを以て書いた文章にはどんなライターにも書けない熱があり、それ故の凄味がある。面白くて、切ない
2019/12/05
踊る猫
山崎まどかの本を読むと、乙女/文化系女子(「女子」というナメたような言葉は私は嫌いだが)の心意気を保ったまま大人になること、成熟することの意味について考えさせられる。この映画評論でも彼女は実にきれいに取り乱す。ワクワクする俳優との出会い、名画との出会い。その新鮮な感動を保ったまま、しかし自分なりの誠実で清潔なフォーマットの文章にその感動を落とし込み、一編の映画評に仕立てる。そう、彼女の文章を読んでいると実に「清潔」だなと思う。汚れを知らないような……知っているはずだが、隠して振舞うことも一種の誠実さである
2021/06/15
翔(かける)
ガーリー文化に造形の深い山崎まどかさんの文章は、本、映画、音楽、ファッション、どれをとっても素敵に描かれているから好きです。午後のティータイム、ビスケットを片手に紅茶を飲みながら読みたくなるような贅沢さがあるような気がします。知っている映画は少なかったけれど、だからこそ「こんな映画もあったんだ!」という発見があって、じっくり時間をかけて読み進めました。大好きなキルスティン・ダンストの考察もあって、すごくおもしろかったです。そうか、誰もが憧れる上流階級の美少女を演じると、キルスティンは輝くのかと納得でした。
2021/08/13
おはぎ
主に女性が活躍する洋画についてのエッセイ集。 映画の劇場用パンフレットに寄稿されたものが多いのだけど、あれは日本のみの文化だったと知る(パンフレットよく買ってたなぁ…)音楽、ファッション、文化…知識量と映画愛と美しい文章。サブスクで手軽に早送りして観られる時代に改めてゆっくり映画を楽しみたくなる一冊でした。
2022/07/07
感想・レビューをもっと見る