小説 こころ
小説 こころ / 感想・レビュー
アキ
久々にこころを読み心を動かされる。明治の終わりと共に妻を残し自死に至る先生の手紙で終える小説。この小説に通底する死の不吉な基調。先生の両親の死、残された金を巡り叔父に欺かれた過去、私の父親の死期、Kの死、妻の母の死、明治天皇の崩御と乃木大将の殉死。いくつもの死は明治という時代の死でもあり、そこに死の裏側にある生の萌芽は見出せない。主人公の私は、東京で先生の葬儀に出た後にどう生きるのであろう。文響社のこの本は挿絵入り、ルビ振り、文字の意味付きで文庫本より読みやすかったです。違う形式の本で読み直すのもいいな。
2021/04/17
鱒子
言わずと知れた夏目漱石の代表作のひとつがイラスト付きで。このイラストがビックリ!なんと漫画のひとコマなのです。なので、イラスト内に台詞入りの吹き出しが書いてあります。そしてこのイラストは「漫画こころ(作者 有栖サリ)」からの引用。文響社さん、面白いことするなぁ。
2021/07/09
紅香@本購入まであと9冊
『私は今自分で自分の心臓を破って、その血をあなたの顔に浴びせかけようとしているのです』父親の臨終間際。届いた分厚い手紙は今にも血を噴き出しそうな激しい寂寥だった。。先生と私、両親と私、先生の遺書+イラストで世界観を広げている。夏目漱石の魅力に今更ながら気付かされ、舞い上がる。そして打ちのめされた。高校の頃には見えなかったこころの襞。塵を被ってきた今ならば理解できる。だから恋は嫌い。『私の鼓動が停まった時、あなたの胸に新しい命が宿ることが出来るのなら満足です』遺書は渾身の追体験。絶対に忘れない。圧巻な一冊。
2021/08/01
よし
★★★★☆ 夏目漱石の名著。挿絵が入っていて、場面が想像しやすかった。捉えどころのない人のこころの有様を独白調で語る最終章は圧巻。人間の心の底にある孤独は切っても切り離せないからこそ、誰しもがそれに共感し、長年読み続けられているのだろう。
2024/09/08
六月一日宮玲子
言わずと知れた日本文学の最高傑作。文響社の文芸シリーズはマンガとセットになっており、マンガから引用された挿絵が所々にある。小説を読む前にマンガを読んでおくと、そのシーンで登場人物がどんな動きをしていたか、どんな風景だったかが想像しやすいと思う。
2024/05/01
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