ものがたりのお菓子箱
ものがたりのお菓子箱 / 感想・レビュー
emi
図書館で偶然見かけたこの本は、まったくお菓子じゃない、どちらかというと怖さや妖しさ満点の近代文学の短編集でした。他の方も書かれてますが、川端康成の「片腕」はものすごく不可解なのに引き込まれました。腕なのに実に蠱惑的。国語便覧で見かけた気難しそうなお顔からは想像できないほど、そして今流行ってる本では見かけない面白さに出会った気がしています。間に幾度となく世界を変える安西水丸さんのイラストページがまた、読み手を混乱させたり馴染ませたり。なかなかに興味深い本でした。もっと広く読まれてもいいなと密かに思った一冊。
2016/01/08
橘
面白かったです。既読のお話もあれば、初めて読む作家さんもいて、様々で興味深かったです。川端康成の「片腕」は読んでみたい作品だったので嬉しかったです。こんなにエロティックとは。。星新一の「ボッコちゃん」が懐かしかったな。
2015/12/29
メイ&まー
「愛撫」や「片腕」にお菓子なんて出てきたっけ?と思いつつお菓子が出てくるお話の詰め合わせと疑わず手に取る。なあんだお菓子なんて出てこないじゃないと気付けども読んでいくとこれがなかなかどうして・・・。あまいあまい白砂糖の誘惑、蠱惑的なシナモンや異国のスパイスの香り・・・そんな物語の風味がお菓子を思わせてページをめくる手が止まらなくなってしまった。かわいらしい装丁、各扉に物語に寄せたお菓子のおしながき、安西水丸さんのユーモラスでいてちょっといろっぽいような挿絵、どれをとっても面白く素敵な一冊でした。
2014/04/13
くさてる
どういう基準で選ばれたのかは不明なアンソロジー。強いて言えば幻想的な味がする作品なのかな?安西水丸のイラストがとても素敵なので、氏のイラスト似合う作品という基準なのか(まさか)。選出されているのは名作揃いなのでほぼ既読でしたが、やはり川端康成「片腕」はほんとうにすごい。三島由紀夫「雨の噴水」も読んでいると浮かぶイメージが鮮烈で良かった。こういう昭和の風俗が感じられる三島もいいなあ。
2017/06/11
森の三時
谷崎潤一郎、川端康成、中島敦、三島由紀夫など昭和までの作家さんたちと、なぜか小川洋子さんの短編15話。ビッグネームの代表作以外の物語が一冊に揃い、そういう意味ではお得な読物です。お菓子は出てきませんのでタイトルの意味は明らかではありませんが、お菓子に例えるなら、あやしげな包みのお菓子が15種類入っていました。私が特に印象に残ったのは川端康成の『片腕』。その腕が白い大理石の彫刻であれば凡庸なのですが、何しろ「片腕を一晩お貸ししてもいいわ。」と言う娘の腕と男のやり取り。非現実的なのに美しく魅せられる。耽美。
2016/01/31
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