電通文学にまみれて: チャート式小説技術時評
電通文学にまみれて: チャート式小説技術時評 / 感想・レビュー
しゅん
筒井康隆との確執や飲み屋で作家に殴られたなどのエピソードを生んだある種伝説的な辛口時評だが、著者の文章に馴染むと真っ当な批評を心がけているだけなんだなと思えてくる。小説をあくまで「技術」として捉えること、小説の凝り固まった(「電通」的な)イメージを横暴かつ繊細に超えうるような言葉を求めること。渡部の評価軸は上記二点を中心に定まっている。批判的な文章には強い説得力があるものの、褒めている時に一体何処を評価しているのかがわかりづらかったのだが、そうした感想も本人からは「読めてない」の一言で一蹴されそうだな…。
2017/06/18
この採点方式て文芸時評は確か中上健次がやりだしたんだと思うんだけど不満たらたらでもまあしっかり読んで律儀に採点するわけなんだがもうそれがおかしくておかしくて読んでいる間にずっとにやにやしっぱなしだったんだよね。でも最後の方はさすがに投げやりになっているんだけどそれもまたにやにやしてしまう。「いつのまにか本気で文学を愛してしまっている自分の愚かしさに気づきながら、いくぶん途方に暮れるのだった」と書いてしまうのも涙を誘うじゃあないか。こういうのを見ると批評の苛烈さの点では『作家の値打ち』なんて生ぬるいんだよな
2016/11/07
ヤマニシ
「安部公房が、久しぶりに「安部公房」しているだけ。」(p40)
2022/12/14
mstr_kk
同じ著者の『それでも作家になりたい人のためのブックガイド』、その続編、漱石本などの小説指南シリーズを先に読んでいたので、全体に強烈な既視感あり。それにしても、本当にたくさんの小説家たちが現れては消えていったのだなあと、採点表を見るに感慨深い。面白い本ではあります。
2013/01/28
pudonsha
当時は渡部さんの文芸時評に反発するというリアクションがあったが、いまでは無視されるだけだろう。さらにいえば、こういった時評を書かせてくれる媒体もない。
2013/10/24
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