それでも作家になりたい人のためのブックガイド
それでも作家になりたい人のためのブックガイド / 感想・レビュー
ころこ
ひと言で纏めるならば「読めないと書けない」。小説を「読める」という自覚があるから身も蓋も無い議論をできるのであって、ふたりの評価に同意するかはともかく、評価を下すまでに至る読書に対する緊張感を共有したいと思わせます。興味深いのは、1993年の時点で綿矢、金原が予見されていることです。文学の底が抜ける現象は随分前から胚胎しているが、それすら「読めない」読者が前提になっています。作家を目指すのであれば、せめてそのことの自覚はしてもらい、それでも作家を目指すのかな?というのがタイトルに込められたメッセージです。
2020/03/31
内藤銀ねず
大学の時に買って、まだどこかにしまってあったと思うけど。要は「小説家になるのはあきらめなさい」を言いたい本なのですが、巻末に読んでおくべきブックガイドが載ってましてね。その中で芥川龍之介『歯車』に「バカには小説が書けない見本」、田山花袋『蒲団』に「バカでも小説が書ける見本」みたいに書いてあった記憶がある。あと一緒に野坂昭如『エロ事師たち』がラインナップされていて、この作品だけは、わたし何回チャレンジしても特異な文体にやられて通読できませんでした。小説家になりたいならこんな本に手を出しちゃ駄目だと思う。
pudonsha
「ヌーヴォーロマンのテクストは、小説技術に関するものすごく高度なチャートでもあったんです。フローベールから始まって、かつて用いられたさまざまなテクニックを踏まえて、小説にはこれからどんなことが可能であるかという、ほとんどすべてのパターンが追究されているわけ。壮大な総ざらいです。フランス文学史上、エクリチュールの物質性がこれほどテクストの世界に浮上してきたことはありません」(渡部)
2013/10/17
AU
ブックガイドであり初心者向けの小説解体新書だと思った。小説とは言葉で物語を綴ればそれで完成ではなく、小説というシステムに則る手続きがあって、その手続きも先人たちの幾多の試みや文壇の潮流という経緯があること、その1本の時間軸が現代の文学にも繋がっているということを知った。音楽でいう「掘る」にあたることが文学でもできるんだなーと。考えてみればそりゃそうなんだけど、本の中で何度も触れられていたように「小説は誰でも書ける」という錯覚がこの事実の認識から遠ざけているんだと思った。
2020/12/31
あうる
後作『新・それでも作家~』と内容は大方重複。扱き下ろしの引用の差し換え、幾ばくかは詳しくある技術指南、後はこちらの方が読みやすいぐらい。愉快な糾弾コメディ。
2014/02/02
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