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聖女伝説

聖女伝説

聖女伝説

作家
多和田葉子
出版社
太田出版
発売日
1996-06-01
ISBN
9784872332858
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聖女伝説 / 感想・レビュー

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宮永沙織

少女の誕生は性を意識し始める事から始まるのかもしれない。身体と心の変化への嫌悪感。圧倒的男性社会への憎しみと憧れ。空虚な日常と誇大妄想。言葉が少女の取り留めない思考を見事に描いている。多和田ワールド好きです。

2010/11/15

rinakko

女の性を受けたものが、何者でもない“少女”でいられる限られた時間。ふわり、ゆらり――と宙に浮いているようでいて、けれども執行猶予のように張りつめてもいて。その、短くも儚い少女期の終焉には、必ずや死と再生が待っている。少女としての魂は、己を待ち受ける次なるステップ“大人の女への変貌”のために、自らを殺めなければならない。…と言いつつ、そんな、死を目前にした一瞬を、あの永遠に的に当たらない矢が飛んでいく瞬間のようにどこまでも区切り続けて無限に引き延ばしておけたらば…という発想の方が、私の嗜好には合う。

2009/06/30

訃報

『声のおとずれ』、怖っ!

2019/09/04

amanon

聖人伝説及び『聖書』のパロディ的要素があるということで、一キリスト者として、それなりの興味を持って読み進めていたが、正直肩すかし感が否めず。前半の鴬谷とのどこかエロティックなエピソードには、ある種の期待(?)を抱いたのだけれど、結局尻すぼみに終わり、また恋仲に近い関係にあったカナーともこれといった進展は果たせず。こちらが勝手に期待していた展開がはなから間違っていた、ということか?著者特有の言葉遊びも、どこか上っ滑りという印象が拭えず。著者が新たな段階へと至るための習作と位置付ければよいのだろうか?

2016/04/27

relaxopenenjoy

作家の読書道(サイト)の川上未映子さんの紹介から気になって読んだ本。図書館の閉架から。多和田さんは雪の練習生に続き2冊目、もっとずっとより濃厚というか。聖書の世界観とか、多感な思春期の少女の妄想とか、周囲を取り巻く同級生や親や男や女の言動とかも気持ち悪かったり不気味で、色々ないまぜになり絡み合い。とにかくもうなんというか。いい意味で。先日息子が転倒して額を4針縫う怪我をしたが、直後や麻酔時に予想以上に患部から血が大量に吹き出した。その時のクラクラするような感覚や血の味の幻想がよみがえった。

2019/11/12

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