鬱屈精神科医、怪物人間とひきこもる
鬱屈精神科医、怪物人間とひきこもる / 感想・レビュー
keroppi
このタイトルに、この表紙、しかもキネマ旬報社と知って、興味津々。精神科医が仕事が嫌になり家に引きこもり、バッドエンドの怪物映画や小説にひたる。昼日中からカーテンをひき、蠅男が好きだというラム入りミルクを飲みながら見る異形の映画の数々。私もこの分野の映画は好きでかなり見ている方だと思っていたが、見ていないものも多い。「ムカデ人間」「武器人間」等、ネットで予告編を見てみたが、そのおぞましくも魅力的なこと。バッドエンドに癒されることもある。コロナで引きこまざるを得ず、鬱屈している今、こんな映画を見てみるか。
2021/08/24
空猫
Dr.春日が仕事を休んで引きこもりだった時期の、映画に関するエッセイだった。Dr.は「低予算、パチもんを自覚した荒唐無稽な(但し手抜きなしで作り込んだ)」冴えない作品がお好みだ。なので世間の評価は低いし、観てもガッカリするのだ。しかも古い、埋もれた作品が多いのでもう観られなかったり。けれど精神科医目線もあり、町山智浩サンとはまた別の面白さがある。完全にネタバレだが原作にまで言及しているので観たい、読みたい作品がてんこ盛りになった。
2021/12/13
くさてる
モンスター、あるいはバッドエンド。そんな小説や映画のことをぽつぽつと語る春日先生の言葉に耳を傾けていると、自分の中の鬱屈とした部分が不思議と慰められるような、面白みを感じられる。紹介されている作品は大胆にネタバレされているにもかかわらず、むしろそれだからこそよけいに見て見たいという思いに駆られるのも面白い。「泳ぐ人」は原作がすごく好きで、そのまま映像にされてもなあと思ってたのですが、見てみたくなりました。
2022/06/07
kei-zu
この著者の本は初めて読みました。それにしても、なんて素敵な書名だろう! この手の文章は、作品の概要の説明をしながら身辺雑記の話題を展開するわけですが、関係作品の紹介まで含む内容に、著者の筆力を見る思いがします。 過去の「名作」だけでなく近年の作品まで言及するのは、このジャンルへの著者の愛情が感じられます。 ハエ男が好んだというラム酒入りのミルク、おいしそうですが、まだ試せていません。
2021/07/27
澤水月
終盤紹介される(米東海岸の中産階級家庭のプールを泳ぎ継ぐ)「泳ぐひと」が実に恐ろしく、見たい! 「蠅男」の如くラム入りミルクを舐めつつ、(基本チープな)映画の怪物に共感を寄せ、またさまざまな文学やアートなどと絡め自分の鬱屈を綴る。50歳過ぎ、一時医業をなげうち引きこもっていた時期の経験と思い形に。ネタバレもあるが50年代モノクロなど未知の映画も多く興味そそられる(巻末に章ごと一覧あり)。早世した友人の女性漫画家との思い出など今はいないひと、ものへの哀切もにじみ味わい深い
2022/01/27
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