映画の木洩れ日
映画の木洩れ日 / 感想・レビュー
もりくに
本屋に行けば必ず読む数少ない連載が、本書の基のキネマ旬報の「映画を見ればわかること」。(以前はもっとあったが・・)あとがきによれば、川本さんの映画評論は、作品の「良し悪し」を論じない。良かった映画についてだけ書く、と。これは亡き妻の哀惜記「いまも、君を想う」に書いた妻の助言。彼女は彼の大好きな西部劇に寄せて、「西部劇の悪人は、丸腰の相手を撃つ」と。彼の作品に「歩み寄る」ような評論は、それから始まったようだ。また彼は、自分の評論を、「ミルフィーユ」に似ている、と。彼の各時代の映画体験が、積み重なっている。→
2023/06/27
クズンヌ
自分の大好きな映画について語るとき。その語り方の大部分を本書の元となった氏の連載エッセイ「映画を見ればわかること」(キネマ旬報)で学んだ。語り口にインスパイアされて劇場に足を運んだ作品も数知れず。 氏によれば、映画を評するとは手間をおしまず先ずしっかりと資料に当たることだという。だがそれだけではあるまい。若い頃から銀幕と向き合ってきたことで培われた感性が、本書でも老練の筆をさらに冴え渡らせている。
2023/06/05
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