他者と死者: ラカンによるレヴィナス
他者と死者: ラカンによるレヴィナス / 感想・レビュー
寛生
【図書館】Très très bien!-a significant contribution to scholarship! 新角度からの提示、もしくは問題提起がなされている。フロイトやレヴィナスを並行して議論を進めていく所など、世界を見渡してもとても貴重だろう。ラカンからレヴィナスへと移行しようとするその瞬間が美。ただ、229頁のレヴィナスのアブラハム解釈はあまり的を得たものではないと思う。恐らく本書に列挙されていない文献をみると分かるだろう。何をおいても、本書が何かの扉になることは間違いないだろう。
2014/02/26
白義
ラカンとレヴィナス。二人とも現代思想の中でも、群を抜いて超難解な思想家だ。この本は、彼らの分かりにくさの理由と必然性から始まり、円滑なコミュニケーションを不可能にする他者について考えを深めながら、逆にその場所から始まるコミュニケーションの豊かな可能性を浮き彫りにさせている。ぼくから見ると東浩紀の郵便本と微妙に響き合うものがあるように思う。やがて他者の中でも根幹的な『死者』と出会うことによる倫理の可能性を描いていく。内田樹の思想全ての、多分原点にして最高傑作
2011/04/06
訃報
私たちが「良心の痛み」や「やましさ」を感じるのは、「私の邪悪な願望が成就した後の未来の私」という仮想的視座に立つことができる場合に限られる。 「汝殺す勿れ」の戒律を内面化できるのは、「殺した後の、血に汚れた手をして死体を見下ろす私」に想像的に同一化できる人間だけである。
2021/08/01
かりんとー
頭の中で火花がスパーク!第4章最高!
2017/09/03
保山ひャン
レヴィナスは難解でラカンはさらに難解、という出だしでツカミはOK。、師弟関係の話や、有責性の話は読ませる。第4章「死者の切迫」は白熱した。勧善懲悪、因果応報が善への志向には結びつかない、という指摘は喫緊の課題なのだが、ずっと前から喫緊の課題であり続けている。これを喫緊の課題だ、とか言ってすましていること自体に罠があるのかもしれない。
2016/11/24
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