理科系の文学誌
理科系の文学誌 / 感想・レビュー
Kouro-hou
「中学や高校でつき合わされた哲学や科学やらが、実はどんな小説よりも奇想天外であることを伝えるためのこころみ」という1981年の本である。前半はテーマ別の書評、後半は国別に近代史(ゴシップ込み)と科学文学をたどっていくわけだが、そこは荒俣先生やはり右端から左端へ飛ぶw 煙に巻かれながらの楽しい読書である。言語は神のもの(宇宙的な真理)か獣のもの(単なる記号の集まり)なのか『山椒魚戦争』、特にプラスチックやガラスの不完全結晶が完全結晶を目指すとしたら『結晶世界』の章はなかなか感動的ですらある。
2020/02/15
Akito Yoshiue
この本も相当繰り返し読んでるなあ。
2019/08/08
wasabi
カルヴィーノ『結晶』評がはちゃめちゃに面白いし、俺が最近ハマってる市川春子の『宝石の国』がよりはちゃめちゃに面白く読めるようになった。「生命の成りたちが非対称の結晶、つまり偏った分子構造である可能性は、こうして疑い得ないものになった」「かたよりをもつ結晶を本質部分に置いた生命が、その最も理想的なすがたである鉱物や結晶——すなわち対称性をそなえた無機物の結晶に恋いこがれるのは、哲学よりもむしろ物理化学的な原理にもとづいていたといえるだろう」
2014/09/28
ryota
タイトルの通り。sfより科学者の真面目な哲学の方が創造的でエキサイティング、という主張は、個人的にかなり好みに近い。と言いつつ色々sf作品も取り上げられてた。面白すぎた。
2015/02/02
むとうさん
私は文学というものが大変苦手であり、特に某大学入試一斉塗り絵試験の小説問題は常に凄惨たる出来であった。特に「○○の気持ちを答えよ」という問題ができない。だがこの「文系」的な読みはできないにしても、その逆である「理系的」な読みなら面白いかもしれない。なるほど確かにこうやってSFや文学を読めれば面白いと思える。言語や進化などといった概念を元に深読みしていく作業は実に知的冒険という感じだ。もう少し有名な題材を使ってほしかったけれど、アラマタ先生にそれを求めるのはお坊さんにコーランの解説を求めるようなものでして…
2012/10/07
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