革命と転向 (全集 現代文学の発見 第3巻)
革命と転向 (全集 現代文学の発見 第3巻) / 感想・レビュー
てれまこし
プチブルのインテリゲンチアがプロレタリア作家になる「過程」。それは母親の愛情を突き放し、女が寄せる愛情を金のために利用し、同志に犠牲を迫ることができる人間になること。だが、他人に大義への献身を迫れるのは自分自身が個人的生活を捨てて生きているから。文学作品がもっぱら記録として読まれるのは、もうそれが文学以外の何ものかであるからだが、その完成にもっとも近い小林多喜二の「党生活者」においては、克服されるものとされながらも情にほだされる瞬間も描かれている。そこにかえって文学的価値が見出せるのも皮肉な話ではある。
2021/02/15
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