ドンビー父子 上
ドンビー父子 上 / 感想・レビュー
ケイ
資本主義社会の悪というものだろうか。ドンビー父やその姉の情のなさ。それに対する、母と娘の哀しみながら抱き合う様から溢れる愛。感想は下巻で。
2017/03/23
のっち♬
病弱な息子に期待をかける商会経営者のドンビー氏と一切顧みられない娘の関係が主軸となる。寄宿学校を通して息子を衰弱させる詰め込み教育が風刺され、その過程や死の描写は特にリアリティが高い。次々と登場する様々な立場の女性も、苦手意識は感じるが果敢に挑んで立体感を出しており、著者の人物造形における手法の転換点とも言える。「お金って何?」—ドンビー氏にとってお金は家庭内権威を増大させる手段のようであるが、著者はその利己心や執着に鋭い視線を投げかけ、傲慢な支配幻想に容赦なくナイフを突き立てて変化の必要性を訴えていく。
2018/02/28
NAO
「ドンビー父子商会」にこだわるドンビー氏は、跡取り息子以外は自分の子どもとみなさず、美しく気立てもよい娘のフローレンスには見向きもしない。ドンビー氏の利己主義は、息子を産んだあと死にゆく妻に対して、病弱な息子が亡くなったあとも生き残っている娘に対して、そして再婚した妻に対して、信じられないような言動をみせるが、彼はそれを当然のことと考えている。この利己主義が、家族や彼の会社にどのように反映され、その結果彼はどうなるのかが気になるところだ。病弱な弟ポールとフローレンスの姉弟愛が哀しいぐらい美しかった。
2015/09/28
ゆーかり
ディケンズ7作目の長編。念願の跡継ぎが生まれ喜ぶドンビー氏。一方娘のフローレンスには目もくれずまるで存在も認めたくないかのよう。それでも弟を可愛がるけなげなフローレンス。ドンビー氏の再婚相手イーディスも複雑で、後半フローレンスとの関係含めどうなっていくのか。詰め込み教育のブリンバー博士の寄宿学校やカトル船長らキャラクターはディケンズらしい。ウォルターの行方も気になるところ。
2019/08/13
有沢翔治@文芸同人誌配布中
貿易商の社長ポール・ドンビーは待望の男子を得たが、それと引き換えに妻は命を落とす。娘のフローレンスには愛情を注げないでいた。事業の後継者にするべく、息子にもまたポールと名付け、詰め込み教育を受けさせる……。http://blog.livedoor.jp/shoji_arisawa/archives/51516763.html
2021/01/09
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