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エンジェルエンジェルエンジェル

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作家
梨木香歩
出版社
河出興産
発売日
1996-04-01
ISBN
9784875990741
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エンジェルエンジェルエンジェル / 感想・レビュー

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あつひめ

人の心に棲まう天使と悪魔、善と悪。誰の心にもあるもの。どんなにいい人であっても持っているもの。そして人生の中に後悔がない人はいないのかもしれない。あの時こうしていれば、ああしていればと。それが人間なのだと。とても真っ当な人間臭い人間なのだと言われたような気がする。とても静かな言葉のやりとりが言葉の中に含まれた思いの深さを感じさせられた。もしも…こんな風に祖母と語らう時間があったとしたら…と私には無かった時間を羨ましくも感じた。

2017/06/13

美登利

梨木さんの持つ独特のスタイル。でもこれは特に身につまされました。認知症を患う(多分)祖母と孫との心の交流。そうなんだよなぁ、認知症の人は落ち着いてくると、本当に天使みたいなんですよ。何を見つめてるのか、その目には何が映ってるのか。義母を見ていて時々、全部分かっているのではないか?と思うことがあります。何も応えてくれはしないのだけど。さわちゃん、ツネに逢えるよね。辛い気持ちを抱えたまま、お疲れ様でした。

2014/07/08

柊渚

あの子を見つめている時の、貴女の熱を帯びた視線に気付いてしまったその瞬間、心に流れ込んできた醜くて真っ黒いもの。あの子が憎い。明るく陽の射していた場所が遠ざかっていく。暗闇の中にひとり置去りにされた、少女の時間は止まったまま。ただ赦される瞬間を待っていた。神様からでもなく天使様からでもない、他でもないあの子から。梨木香歩さんは同じく孫と祖母の関係を描いた『西の魔女が死んだ』がとても優しい物語だったので、今作も…と思っていましたが、良い意味で裏切られました。消えることない罪の意識と後悔の念に救済を。

2022/02/02

アルピニア

題名からは想像できない内容。いとも簡単に怒りや妬みに流されて悪魔の誘いにのってしまう人間。そんな人間を創造主はどう思っているのか。梨木さんの信仰あるいは神に対する真摯な問いかけを感じる。主人公と祖母の「現在」と、その祖母が女学生だった頃の「過去」の話が交互に語られて進む。そして、登場人物である主人公や祖母が知りえなかった事実を読者だけは知っていくという設定。むごい描写の部分のインパクトが強く、題名の3つのエンジェルが示す意味も重く苦しい。庭で穴を掘りながら交わす会話が哀しいけれど優しくて、少し救われた。

2016/07/08

Gotoran

当初は若干の違和感を覚えつつも(章毎の文字の色違いにも)気付かなかったが、読み進める内に気付いた。ばあちゃんの孫「コウコ」(現在)と「さわちゃん」(ばあちゃん)の幼少時の話(過去)が交互にネスティングされ、最後に両者が繋がってゆく。誰もが持っている心の奥底の暗影(傷、弱さ、嫉妬、憤り)を巧みに鋭く表現して、梨木さんが優しく、丁寧に魅せてくれる。最後の木彫りの天使を見てのコウちゃんの独白が示唆に富み、読み手の心を癒し、生きる勇気・元気を与えてくれる。「ねえ、さわちゃん・・(中略)・・大鷲の翼 天と地の間↓

2012/06/02

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