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永遠の仔 下

永遠の仔 下

永遠の仔 下

作家
天童荒太
出版社
幻冬舎
発売日
1999-02-01
ISBN
9784877282868
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永遠の仔 下 / 感想・レビュー

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とん大西

…放心というか酩酊というか。読み終えた今も長く哀しい物語に揺蕩っているよう。『虐待』という言葉だけではすまされなかった彼らのキズ。が、優希も笙一郎も梁平も…あの嵐の夜、あのクスノキ。救われた永遠があった。寄り添う魂を感じた。だからこれまで生きてこられたのに…偽りが混じっていても、真相を知らなくても。あぁ、何故こうも哀しい。みんな無垢なこどもだったのに。明日、これから…生きていく。エールですらないかもしれない。でも一片の光りは感じていたい。山間にとけていく彼らの儚げな想い…切に胸に沁みてきます。

2022/08/11

jam

再読。本作以前も虐待は福祉や行政では課題だったが、これを契機に社会問題として顕在化したように思う。介護保険が制度化した時期とも重なり、ベストセラーが時代を映すのか、時代が作品に追いつくのか、どちらなのだろう。ただ、そうした本は確実に存在する。これを人々が求めたことは、そこにある闇の発露が必要だったからに他ならない。精神形成に環境の影響は絶大だ。しかし、理不尽な世界への責任転嫁では問題は解決しない。痛みを伴う作品の意義はそこにある。現実の中で人は、痛みも罪も引き受け、自身で道を行くしかないのだから。

2016/10/04

風眠

読まなければよかったと思ってしまうくらい、言葉にならない「想い」にザクザクと切られていく感覚。こうして感想を書こうとPCの前に座っているが、うまく言葉がでてこない。人間の弱さが数珠玉のように連なって、ぐるぐるぐるぐる手の中で転がり続けているような・・・その手の中から抜け出せたらどんなにかいいのにと思うけれど、糸を通され、ほかの玉と同じようにつながれているから、その中で一種の安らぎのようなものを感じでしまうのもまた真実であろう。いけないこと、間違いだ、かわいそう、という言葉では片付けられない。魂で読む本。

2012/04/02

ALATA

子供は親を選ぶことはできない。生まれ落ちた環境を享受するしか術はないのか?17年前の事件に引きずられモウルの葛藤する姿が悲しい。人は誰もが、自分が幸せになりたいと思い、行動している。「生きていても、いいんだよ」ジラフの回想が胸を打つ。深い感動に包まれた。★5※クスの木に手を回し、求め合う三人、キイチゴの甘酸っぱさが涙を誘う。また、再読します。

2022/01/10

sk4

この一連の事件の根は何が原因だったのか? 優希には終わりの見えない近親強姦、笙一郎は糞尿まみれで餓死に耐える繰り返されるネグレクト、梁平は性器を特に執拗に狙われたタバコの押し付けによる全身の無数の火傷。 彼らの心を覆い尽くす闇は深く、十七年後の再会がそれを押さえ込んでいた蓋を開く。 石鎚山の断崖で優希の父の背中を押した手は誰のもの? 優希の母、志穂の首に手をかけたのは? 多摩桜病院近辺で殺された二人の女は一体誰が? その全ての闇を手にジラフは明神の森を目指す。 悲しくてやりきれないです T_T

2013/02/15

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