五分後の世界 (幻冬舎文庫 む 1-1)
五分後の世界 (幻冬舎文庫 む 1-1) / 感想・レビュー
absinthe
世界のどこかでは常に戦闘が起こっているわけだから、それが日本であるという点だけがフィクションとも言える。民族の誇りを取って命と経済的豊かさの大半を失った日本と、命と経済的豊かさを取って誇りを捨てた日本。現在日本の民族の誇りは1万分の26に過ぎないのか。襲い掛かる国連軍と地下にもぐる日本民族。押し寄せるアメリカ映画に圧倒される日本文化のようだ。アメリカ的善悪、アメリカ的食文化、アメリカ的経済。圧倒的物量の前に日本文化は無力なのか。
2019/07/05
HIRO1970
⭐️⭐️⭐️久々の村上龍さん作品。タイトルが気になって手に取りました。もう一つの世界に突然放り込まれた主人公が違和感を感じつつシンクロして行く過程が戦闘場面を中心に血の匂いを感じさせながら丹念に且つ入念に書かれておりそのスピードと疾走感が物凄い臨場感で常に迫って来る渾身の一作でした。戦場シーンが多いためかなり残酷な場面がありますが、この作品については余り気になりませんでした。皆さんにオススメします。早くも2巻目が読みたい。《本年100冊目パチパチ》
2015/08/31
ehirano1
のっけから映像を観ているような描写が続き引き込まれます。設定はパラレルワールドのような感じですが、たった5分(されど5分)のズレでこのような世界が「在る」というのは何だか信じたくなってしまいます。エンディングもカッコ良くて、なんか好き。
2024/01/20
かみぶくろ
第二次世界大戦で日本が無条件降伏しなかったら‥という設定のパラレルワールドもの。例によって文章の密度と圧力がものすごく、深いところに沈められていくような息苦しさを覚えた。とりわけ、お得意の戦闘や暴動みたいなワチャワチャした破滅的騒乱のイメージは圧巻の一言。徹頭徹尾、描写描写描写描写!で、非現実世界なのに細部にリアリティが溢れている。そして全てを受け入れる最後の一文に震える。有無を言わさぬ世界の肯定。硬質すぎて好き嫌いありそうだけど、個人的には傑作。
2016/06/25
Shinji Hyodo
とりあえず読了。あとがきより…「この小説は『限りなく透明に近いブルー』や『コインロッカー・ベイビーズ』と、明らかに違う方法で書かれたものだ。私は、自分の中の情報を、自覚を持って言葉にし、それを組み合わせていった。そういう意味も含めて、今までのすべての作品の中で、最高のものになったと思っている。」…やはりそうだったのだ❗️どうりで私には理解出来ない訳だ´д` ;「コインロッカー…」は読み終えるのに10年は掛かっているし、一回じゃ理解出来ない!何回か読まねば無理なので難解というのだと気付く…降参…(;_;)
2015/10/09
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