マリカのソファー/バリ夢日記世界の旅1 (幻冬舎文庫)
マリカのソファー/バリ夢日記世界の旅1 (幻冬舎文庫) / 感想・レビュー
クプクプ
この本は、平成9年出版です。「マリカのソファー」がバリ島をテーマにした小説で、「バリ夢日記」が吉本ばななさんが実際にバリ島を旅行した紀行文でした。「バリ夢日記」は、吉本ばななさんが、バリ島の海岸のリゾートを満喫したり、少し肌に危険なマッサージを受けたりしていました。また、普通、旅行は作家仲間と行くものですが、吉本ばななさんは、カメラマンなど作家でない方と行くところが、彼女らしいと思いました。ナシゴレンやミーゴレンといった料理が出てきて、私も昔、マレーシアを旅行したことを思い出した懐かしい読書になりました。
2023/11/25
ヴェネツィア
前半の小説はあらゆる点でバリのムードに溢れていて、まさしくここを舞台にしてしか書けなかったような物語。原マスミの絵もいい感じ。後半の奇妙な一行のバリ紀行も楽しい。ただ、せっかくバリに行きながら、毎夜のようにアコモデーションを移るのは気が知れない。ばななさんって貧乏性なんだろうか。
2012/05/17
しろいるか
自宅本を10年ぶりに再読。幼い頃の苛烈な経験から多重人格となった少女・マリカとジュンコ先生が、癒しを求めてバリへ行く『マリカのソファー』、著者自身のバリ島旅行記『バリ夢日記』の2編。ビリーミリガンとは違い、マリカの交代人格が皆マリカを守る人格であったのが救いだった。自己の精神を守るために、辛い時に交代人格が生まれてしまう。そこまでの苛酷さに胸が痛んだ。原マスミさんの挿画が、バリのエキゾチックな雰囲気を演出しててとても良い。
2010/11/18
kana
《人生は全て夢だ。今、このベッドと夕闇に包まれた部屋だけが世界だ。(略)生活、夫、あの部屋、そしてマリカの大切なソファー、 (略)どれも夢であることにおいては等しい》そんなふうに思える場所がこの世界に本当に存在する。バリの魔法。幼少期の虐待経験から多重人格に苦しむマリカと彼女の唯一の友達ジュンコ先生の癒しの旅行記録。からのばなな氏の取材旅行日記が収録される。 この体験がこうして作品に昇華されるのが小説家の素晴らしいところです。バリの空気とマリカの変化が繊細に描かれ、ほわんと掬われるような読み心地でした。
2018/03/25
みう
海外旅行は1度しか行ったことがない。私が初めてバリを訪れたのは2013年、28歳のとき。その20年前、ばななさんも28歳のときに初めてバリを訪れたという偶然が嬉しい。文章からバリの風景が蘇り、また行きたいと思った。バロンはかわいかった。バリ島のあの雰囲気をこんなにも的確に言葉で表現できるばななさんすごい。〈完璧〉という時間を、くつろいだ気持ちで存分に味わった、甘い記憶の切ない残り香だ… 旅から帰った後の余韻をこんなふうに表現できるのも流石です。小説とエッセイ 両方を楽しめる満足感の高い1冊でした。
2023/10/10
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