テニスボーイの憂鬱 (幻冬舎文庫 む 1-6)
テニスボーイの憂鬱 (幻冬舎文庫 む 1-6) / 感想・レビュー
遥かなる想い
「テニスボーイ」という言葉がひどく軟派的な響きを 持つようになったのはいつからなのだろう? 大学のサークルで「テニス」をやっていたと言うだけで いわれのない先入観を持たれ、他のスポーツとは 一線を画される・・本書で描かれる「テニスボーイ」も いかにも俗物で、だがとっても面白かったのもまた事実である。
こうすけ
最高。素晴らしい。わりと長編だが、村上龍らしく、グイグイ読ませる。『半島を出よ』『エクソダス』とは真逆の、経済の絶頂期を背景にして、地主の放蕩息子の無為な日常や恋愛を描いた作品。テニスというスポーツを通して語る、村上龍の人生哲学というような、不謹慎だけどポジティブな読後感のある小説。69、走れタカハシ、が好きだったら、あの世界観をたっぷり堪能できるので絶対おすすめ。
2021/05/15
ゆき
洞察力がある作家だと思う作品でした。男の本心が書いてあるような物語で、女に振り回される男の情けなさがリアルだった、好み美女出会い一緒になれるかもしれないという可能性があると、他の女はどうでもよくなる、ただ、妻や子供は世間体もあるから別れられない、そしてその人も自分の生活を脅かすことがあると、酷いこともする。 カッコつけるけど実際は女々しい、同じ境遇なら多くの男は同じ行動をしそう。 そのようになりえると言うことを知ることが大切だと思った。
2022/12/21
彩
自分がとことん恋愛に向いてないなぁ、と思うのは龍さんの恋愛小説を読んで同調してしまったとき。しかも、泣いたり怒り狂ったりする女ではなく、心の奥底でどこまでも冷静な男のほうに。1つの恋が終わって絶望して、また新しい恋をして永遠を夢見る。でもそれとは別枠の、本当に守りたいものは揺るがない。そういうズルさとか冷たさとか計算高さとか、理解できてしまう(゜゜)とくに最後に起こった事件を「憂鬱」と断定してしまう気持ちがわかってしまうあたり、おそらく私には女性としての何かが足りない(´Д`)
2014/11/02
Yuki Ban
あんたは攻撃的なテニスをするだろ?と仲間から問われ、他の仲間のテニススタイルの話を持ち出し答えなかったテニスボーイ。土地成金に突如なってから、店を経営し、店舗は増え、シャンペンが毎日飲め、美しい女を愛人にするようになった。しかし、彼は運良く金持ちになった思いが拭えない。最初の質問に答えられなかったのは、その質問によって、本当は守るテニスが好きなことを自覚してしまったからだった。さらに、幾多ある徒労の「べき」を片付けながら、家族や従業員や子どもや愛人、全てを守らなければならない自分を彼は発見したからだった。
2018/09/13
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