生と死の幻想 (幻冬舎文庫 す 1-1)
生と死の幻想 (幻冬舎文庫 す 1-1) / 感想・レビュー
ジンベエ親分
「リング」の鈴木光司だが、ホラーではなく"家族小説"の短編集。すべての話に死者と生の象徴である子供が出てくる。最初と最後の話の主人公は同一人物のようにも思えるが、"主夫業"を経験しているマッチョな作者本人の投影なのは間違いないだろう。「リング」や「らせん」のラストのような、家族を守るために平気で世界を敵に回す作者の価値観が、どの短編にも太く流れていると感じる。この骨太さはとても好き。「無明」のラストはかなり絶望的な状況だが、このおっさんなら家族を守ってしまうだろう、とマッチョな鈴木氏本人を思い浮かべたw
2017/01/31
読み人知らず
何かから大切な何かを守るための暴力。安全な世界だけじゃないから、平和をつかみとるために戦うということ。
2014/01/05
猫科とらねこ
「平和で安全な世界でなければ生きる価値はない、そう思うっている人間が~っ」て紹介がすごく期待させられたんだが、そこまでの話じゃない気もしたぞ。とはいえ「闇のむこう」はおもしろかった、悪意ってのは何処に転がってるかわからない、明日は我が身。
2017/07/29
Tetchy
人が死ぬ事、生き延びること、その違いとは一体何なのか?それについて語った作品集といいたいところだが、「闇のむこう」と「無明」はそのテーマから外れているだろう。確かにこれらの作品でも死が扱われているが、それは副次的な物であり、主体ではない。しかしあとがきを読むと、なんと父性と母性をテーマにしているあるではないか。しかしそれもなんだか腑に落ちない。私の中ではなんとも統一性のない短編集だという感が残ってしまった。ところで『仄暗い水の底から』以降の作品に見られるテーマの重複が異様に気になる。
2010/02/14
dynabook77
「闇のむこう」家の中を覗かれてるようなイタズラ電話に困惑する夫婦の話。ミステリーとしても面白いし、鈴木氏があとがきに書いた「父性」をテーマにした作品。六編とも読んでてひきこまれる。
2017/08/13
感想・レビューをもっと見る