ホテル・アイリス (幻冬舎文庫 お 2-1)
ホテル・アイリス (幻冬舎文庫 お 2-1) / 感想・レビュー
mae.dat
洋子さんワールドに没入する気で読み始めたのですけど。全然違うくて。表現が露骨過ぎるよ(ó﹏ò。)。著書『海』にあるインタビューの「バタフライ和文タイプライター事務所」の解説で、官能の世界を描くのは苦手だと言った旨の話しをされていたでは無いですか。安心の合図だと思っていたのに。なんてこったい。でもきっと何かしらあると思って読み進めたよ。しかしこれも文學の奴なの。静かに幕が降りてしまった様な。ホテル・アイリスに泊まりに来た盲目のアイリスさん。彼女は本書の良心か。でも何の為に挿入されたエピソードなんだろう。
2024/10/03
さてさて
一見、異常な関係性の男女の世界を描いたこの作品。しかし、そこには『同じ日の同じ時間、同じ場所へ向かおうとしている人間が自分以外にもう一人いる。そんな事実がうれしかった』という少女の素朴な感情の先にある歪んだ愛の形でもありました。衝撃的な結末の先に少女が願った唯一のことを思う時、少女は『意図的に男性を受け止めてい』たんだ、と自分の中ですっとこの物語が幕を下ろすのを感じました。好き嫌いは分かれそうなこの作品。小川さんらしい表現の魅力に満ち溢れたこの作品。躊躇した末に、読んで良かったと感じた、そんな作品でした。
2021/04/28
ヴェネツィア
小川洋子初読。小川洋子といえば、『博士の愛した数式』が、まず思い浮かぶが、その作品にはあまり興味が持てそうもなく、未読。それで選んだ最初の作品が、この『ホテル・アイリス』なのだが、なんとなく想像していた小川洋子像とは似ても似つかないものだった。これ1作しか読んでいないので、これが小川洋子の本来の姿なのか、それとも、これは彼女の作品系列の中では異質なのか、わからないが。物語は、エレクトラ・コンプレックスとマゾヒズムの気配が濃厚に漂うもの。それでいて、どこかもの悲しく、沈痛な趣もある不思議な世界だ。
2012/06/29
三代目 びあだいまおう
芥川賞作家が描く少女と老人の純愛、究極のエロティシズム。 確かにその通りなのかも知れない。が、気持ち悪い。老人の変態的な狂気さえ帯びた愛し方と、その愛され方を好み全てを受け入れる少女との間にあるのは確かに究極の純愛なのだろう。私自身の恋愛経験が乏しい為か全く理解できない愛し方愛され方。でも、世の色んな事件の背景にはこうした変わった愛し愛され方があったりするのだろう!読後?ウーンいささか不愉快‼️🙇
2018/12/06
ちなぽむ and ぽむの助 @ 休止中
夏だけ活気を取り戻す、海に面した萎びた観光地にひっそりと建つホテル・アイリス。美しい少女マリの世界は、そんな篭った臭いのするホテルだけだった。少女のその狭い世界は、老人の命令に甘くよろめく。絡みつく褒め言葉に囚われた彼女が求めたのは、薄汚く罵られる自分だった。 こんなにもあからさまで偏執的な官能小説なのに、違和感がないのは、この人の小説の何処かに、これまでもこういうあやしい倒錯的な何かを感じ取っていたからかも。小川さんの新たな一面を感じる読書でした。とはいえ初読にはお勧めしません。
2019/06/09
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