イン・ザ・ミソスープ (幻冬舎文庫 む 1-9)
イン・ザ・ミソスープ (幻冬舎文庫 む 1-9) / 感想・レビュー
真香@ゆるゆるペース
実家本。かつて読売新聞の夕刊にて連載された、1998年の読売文学賞受賞作品。20歳になったばかりの日本の青年ケンジが、歌舞伎町で12/29から大晦日までの3日間を過ごす、得体の知れないアメリカ人男性フランクのアテンドをすることになる。村上龍さんは本書が初読みだったのだけど、いきなりカウンターパンチをくらったような、刺激強めの作品だった。それにしても、フランクやべぇ… サイコパス過ぎる。恐ろしや…
2019/10/11
hit4papa
残虐な手口で殺人を繰り返す外国人観光客フランクと、彼をアテンドする羽目になった主人公ケンジの数日を描いています。フランクの怪異な容貌と虚言癖、不可解な行動に不快感を募らせながらも、時折見せる沸騰した怒りの様相に戦慄を覚えるケンジ。フランクの手による殺人を疑いながらも逃げ出せないケンジは、ついに目の前で大量殺人の現場を目撃することになります。おぞましさ爆発、圧巻の殺戮シーンは読みながら怖気をふるいました。本作品はグロテスクなだけのサスペンスではなく、去勢されたが如くの今の日本人に対する著者の嘆きを感じます。
2017/03/31
コットン
ダイビングに使うシリコンのマスクに似た感覚で、ひんやりと冷たい頬の持ち主フランクを歌舞伎町に風俗観光案内するケンジ。危険な男フランクの先が予測出来ない行動に思考停止となったり、逃げ出したいけど逃げ出せないケンジ。ダークなものが苦手な人にはおすすめしない。
2020/03/09
いおむ
自分が今まで読んだ新聞連載の作品で唯一読み切った小説。当然一気読みだとより作品にひたれた。日本人のゆるさは今の時代に世界から取り残されている。でもゆるく生きられる国を、安らかに生きられる世界を造るのが願いの筈。しかしそこから生まれる矛盾。つくづく人間という種の未熟さをまた考えてしまう。
2015/12/06
SOHSA
《購入本》村上龍の小説を読んだのは、おそらく76年か77年、ちょうど自分が高校生だった頃以来だと思う。当時、村上龍が華々しくデビューして新人賞や芥川賞をとった『限りなく透明に近いブルー』はかなり衝撃的な作品だった。あのときの衝撃が大きすぎてそれ以来村上龍の作品を読まなくなってしまったのだ。本作『イン ザ・ミソスープ』はインパクトのある作品で、読み手を一気に引き込む力強さがあった。デビューから40年少し経ったわけだけれど、村上龍は依然、変わることなく村上龍であり続けていたことを確信した。
2017/03/06
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