突破者 下: 戦後史の陰を駆け抜けた50年 (幻冬舎アウトロー文庫 O 30-2)
突破者 下: 戦後史の陰を駆け抜けた50年 (幻冬舎アウトロー文庫 O 30-2) / 感想・レビュー
James Hayashi
さすがは極道の息子。フィクションの様な本当の話し。読んでみてグリコ森永事件の犯人は実際は著者でないのと勘ぐってしまう。 中途半端な半生と言われているが、倒産したり、大事件の容疑者と疑われたり、銃弾を受けたり波乱万丈の生涯である。生きている世界は違うが、同じ日本を違った視点で見ていたと感じさせる筆力。
2017/06/28
ぺぱごじら
半生を語る六章までは、セピア色の背景で悪戦苦闘する著者の姿が、最終章は濁りのない空気の部屋で、回顧しながら『清潔な現代』を憂う著者の姿が見える。ドタ靴とシルクハット&ステッキを並べた『Mr.Big』の1stアルバムのジャケット(古いか)を地で行くようなイメージ。復興する日本の『新しいシステム』を作るための土台となった『旧システム』の(著者を含む)彼等への視線が温かいが、人の欲求は原始的なものだけではなく『文明的』なものもある。著者が嫌うのは『キレイなふりして汚い連中』だ。2016-81
2016/05/29
CCC
学生運動やヤクザ、地上げ屋など後ろ暗い世界の中を泥臭く生き抜いてきた体験が話の中心。権力による圧力やその欺瞞に対する敏感さがあって、鋭い論点は提示していたが、自身の振るう暴力には鈍感なのではと感じる箇所もあった。暴力が身近な環境だったという前提はあるだろうが、事情を考慮するなら著者に痛い目を見せられた人にも、警察などの権力側の人にも事情はあるだろう。そういう余白に看過できないものが埋まってそうで、いまいち著者の心情には乗りきれなかった。ただ迫力はあるし、知らない世界を個人視点から見れるのは面白かった。
2024/05/18
ふみふむ
アウトローで生きるというのは必死なことなんだと思った。形だけやくざを排除してもやくざを生む社会の歪みを根治させない限り事態は悪くなるだけなんだろう。団塊の世代独特の事大主義が目につくが、社会の本質を突いた書だ。
2014/04/18
つちのこ
著者はグリコ事件が起きた時、「あれだけのことができる男は日本中には宮崎以外に考えられない」と呉知英に言わしめた快男児だ。また、バブルの成り行きから崩壊までを闇の世界に生きた男の目を通して冷静に分析、東アジアの中の日本という国家の所業、今後の中国、韓国、朝鮮とのかかわりを「来るべきアジア的混沌と再編に向かって放たれる最初の鉄砲玉になり得る夢想」と結んでいる。
1999/04/19
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