家畜人ヤプー (第5巻) (幻冬舎アウトロー文庫 O 36-5)
家畜人ヤプー (第5巻) (幻冬舎アウトロー文庫 O 36-5) / 感想・レビュー
おたま
ついに全5巻読了!とにかく凄い読書体験だった。読み始めはその猛毒性のために、嘔吐感すら感じながら、はたして最後まで読み切れるものなのかと迷った。しかし、読み進めるにつれ、その書かれている世界観構築の凄まじさ、描かれるマゾヒストの地獄浄土の曼荼羅絵図、徹底的なSF的解釈によって、他に類を見ない大伽藍の印象を受けた。5巻をかけて描いたのは、わずかに3日間のできごと。この物語の主人公は瀬部麟一郎でもクララ・コトウィックでもなく、イースという未来社会であり、その中での家畜人たるヤプーの生態であった。
2022/11/03
ヨクト
まったく、GWにこの世界に入り浸ることになるとはね。本書の世界観やエロ・マゾ・グロ要素に嫌悪感を感じる人も多いだろうが、逆に楽しみに感じる人も多いだろう。そして僕もそのひとりだ。想像を含ませた終焉に僕は少しがっかりしたが、それはクララとリンの向かう世界をもっと見ていたかったからだ。そこに僕が想像し得えない、かつてない世界が広がっているはずだから。
2014/05/02
猫丸
作者はS視点ではなくM視点から被虐の至福を描きたかったそうです。でも、人によってリンとクララ、あるいはポーリーンやウィリアムのうち誰に感情移入するかがまったく異なるでしょう。読む時期によっても変化しそう。ただ、特に後半はSM要素よりSF要素が勝ってますね。意識転位体なんてイーガンくらい自然に出て来るし。いや、圧倒的でした。ブラヴォー!
2018/07/28
Dai(ダイ)
最初に読んだのは、確か中学生の時だったかな。あれから三十数年たってやっと完結篇を読み終えた。今読んでもかなりイカれた本だなという感想。よくこんな本を中学生が読んでたものだ。この頃から変態の道に…(笑)
2012/10/29
ペトロトキシン
家畜であることを甘んじて受け入れる麟一郎に究極の愛を感じた。完璧なる差別社会を表現した作品なのだが、あとがきを読んで作者が望んでいた世界を自分の気持ちに正直に書き上げた作品だと知って驚いた。差別をする側が全く差別だと思っておらず、差別される側のヤプーもそれを喜びと感じてしまっているのなら、これすなわち差別と言えなくなってしまう訳で、お互いが納得してるならこれはこれで良い世界なのかなと思ってしまうのは、私がこの作品に毒されてしまった結果なのだろうか……。
2015/08/15
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