テロルの現象学: 観念批判論序説
テロルの現象学: 観念批判論序説 / 感想・レビュー
鏡裕之
革命を志す人が哲学を書くと、なぜこんなにも現実から遊離した駄作になるのだろう。笠井氏は、観念は次のように発生すると説明する。観念の発生の源は、死の観念。共同体からの脱落により、人は現実世界で自分が失われているように感じる。その現実的喪失を観念的に回復しようとして観念が発生する。以上が説明だが、仮説の上の仮説、推論の上の推論である。観念の発生を問うのなら、古代ギリシアまで遡るべきでは?と思うのだけれど、笠井が俎上に載せるのは近代日本文学ばかり。正直、論としては青臭くて、ぼくは時間を損した気分になった。
2012/09/17
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