シネマ・ポリティカ
シネマ・ポリティカ / 感想・レビュー
踊る猫
「愚鈍な左翼」の元祖にして重鎮が残した映画論の集大成。80年代の動きがこの本でフォロー出来るとてもオトクな一冊。ジャーナリスティックにその時その時の映画をフォローしている著者のフットワークの軽さ、そしてアメリカを熟知しているその知識量に唸らされる。悪く言えばソツがなさ過ぎて尖っていないという気も。つまり今まで生き延びられている考察がさほど見当たらないのだ。この本を今読むことに意義があるかどうか、と考えれば「?」だけど私としては町山智浩のポストモダン論を読む補助線として大いに役に立った。なかなか興味深い一冊
2019/03/20
踊る猫
再読。『ゴッドファーザー』から始まり、ハリウッドからヨーロッパ、オーストラリアまで幅広く映画をフォローしまめにレヴューを書き続けて来た作業の産物。ソツのない整理はしかし、過度に色気を欠くこともなく対象を冷徹に分析し、読者受けを狙ったかのような少し軽めの文体で料理される。ヴィデオの普及によって映画文化が劇的な変容を遂げていた時期に書かれていた、その生々しさも見逃せない。なるほど古い本ではある。だが、初読の感想とはまるで異なるのだが軽薄さ/軽佻浮薄なところが鼻につくという本ではない。硬派な著者の良心が光る一冊
2019/11/03
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