女生徒
女生徒 / 感想・レビュー
白のヒメ
太宰氏の短編と、現代の写真家の写真とが一体になった本。雰囲気があって凄く良い。短く区切られたセンテンスで綴られるこの文章は、当時の女子高生の口調を真似たのだろうか。現代を生きる私が読んでも、確かに女子高生の独白で綴られているっぽく受け止められる(妙に老成された感は否めないが)。太宰氏の挑戦は成功している。ただ、主人公と同じ若い頃のあった女性として言わせてもらえば、この小説は男性の幻想の物語。本当の女は、生まれた時からこんないい子じゃない。それとも私だけかしら(笑)
2014/02/08
愛玉子
一人の女子学生が朝起きてから夜眠るまでの、ごくありふれた日常を描いた作品なのに、どうしてこうも心に刺さってくるのだろう。清らかで優しい気持ちでいたかと思えば急に乱暴な心持になったり、劣等感と優越感が交互にやってきたり、ふわふわと舞い上がったと思ったら次の瞬間には地面にめり込みそうなほど落ち込んで。不安定で儚くて美しいもの、言葉にするとどうしても違和感が生まれてしまいそうな危うい気持ち。それをさらりと描いてしまう太宰って、やっぱりヘンテコな作家だと思う。ノスタルジックな写真も雰囲気によく合っていて好き。
2010/11/20
陽@宇宙望遠鏡⭐︎星と宇宙とロケットが好き
どうしてこんなにも太宰の作品は、愛らしくてたまらない好きな物と、辟易する程哀しくなるような物に、感ずるのだろう。マトリョーシカの様な入れ子みたいな箱の表現、思春期の少女特有の甘い癇癪、野アザミの棘の如く背伸びする言葉。乱反射する硝子の様な「愛」への憧憬。佐内正史氏の撮る写真は学校帰りに寄り道する女生徒の視点みたいで、クルクルした目線みたい。以前読了した本作品も、金平糖みたいに楽しめた。太宰作品で、やっぱり抜群に大好き。こんなテーマで、私も写真撮ってみよう。
2014/03/14
ぱせり
柔らかく、固く、大人かと思えば子どもっぽい。・・・次の言葉が予想できなくて、それが楽しみでもある。なんという瑞々しさ。アンバランスな自分を持て余したり不安だったり。懐かしくもあり、新鮮でもあり、愛おしい。どこの町にもありそうな風景をそのまま切り取った写真もよかった。あの少女に、今朝、あそこの角ですれちがっていたかもしれないとふと思ってしまいます。
2010/12/03
Bartleby
立ち寄った喫茶店の本棚で見つけた本。太宰の「女生徒」は前に文庫で読んだことがある。でもそれがなにげない町の光景を映した写真とともに広めの行間でつづられることで、文章のみずみずしさ、柔らかさが文庫よりもよく伝わってくるように感じた。手元において時々なんとなく見返したいなと思いました。
2012/02/08
感想・レビューをもっと見る