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ドロップ水塔 (天球儀文庫 4)

ドロップ水塔 (天球儀文庫 4)

ドロップ水塔 (天球儀文庫 4)

作家
長野まゆみ
出版社
作品社
発売日
1992-07-01
ISBN
9784878936142
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ドロップ水塔 (天球儀文庫 4) / 感想・レビュー

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優希

夏の終わりから始まった天球儀文庫、最終巻は再び訪れた夏期休暇の物語。楽しい夏期休暇かと思えば、何処か寂しげな雰囲気をまとい、いつもと違う雰囲気のようです。積乱雲や降り注ぐペルセウス流星群の向こうに見える夏の終わり。それは潮騒の音を奏でるスピンドシェルの歌が物語るアビと宵里が歩もうとする道でした。手紙の同封されていない宵里の想いは次に会うための見えない約束のように感じました。2人の日々は確かに存在し、また再び存在するときが訪れる、そんな想いになります。素敵な時間に感謝します。

2016/01/27

かりさ

再読。季節は巡り物語は半夏生から十日目、夏期休暇を迎える頃。天球儀文庫シリーズ最終巻。いつもなら楽しい筈の休暇なのに、なぜかいつもと違う。「心のどこかで、休暇のはじまりを恐れていた。なぜなら、ひと足進むごとに、夏の終焉が見えてくるからだ。」…そんな一文は物語がどう進んでいくのか仄かな予感を感じさせて切なくなる。アビと宵里のそれぞれの道。スピンドルシェルが奏でる歌は確かにふたりの日々が在ったことを教えてくれる。いつまでも私の心に流れる物語は時を経てもなんら変わりなく美しい。天球儀文庫、大好きな物語です。

2016/01/11

mii22.

天球儀文庫④宵里と一緒なら何もしなくても楽しいはずのアビなのに今度の夏期休暇はいつもと何か違う。夏期休暇の調子が狂うのは宵里のせいではないだろうか..。いつもと違った休暇のはじまりに大人への入り口にたった少年の戸惑いが感じられる。アビが心のどこかで休暇のはじまりを恐れていたのは、夏の終焉が見えてくるから。逃れようとしても、季節は過ぎて行くもの。成長したふたりの少年にいつか私もはじめて逢った日のようにどこかで偶然逢いたいなぁと、ちょっぴり切ない思いで読み終えた天球儀文庫おしまいの巻。

2020/06/22

kiisuke

相手のことが大好きで信頼して尊重しているから、相手の選んだ道も好きになりたい。それが自分にとって辛いことであっても受け入れて応援したい。。お気に入りのシリーズもとうとう最終巻。今回も天球儀文庫独特の美しい世界はそのままに、だけど最後に相応しい少し切ない物語でした。ラストで宵里から届いた小包に手紙が同封されていないことの意味。言葉がなくても通じあえるのはふたりだからこそ。きっときっと成長した新しいふたりになって再会できると信じています。素晴らしい世界をじっくり楽しませてもらいました。また読もう。大好きです。

2016/02/04

リリィ

せっかく楽しい夏季休暇が始まったというのに、どうもいつもと調子が違う。判然としない、朧げな不安を抱え、得体の知れない焦燥感に狩られながらも、少年達は、ドロップ(流星)観測に向かうが…夏が始まるにつれ、高揚する気持ちと夏の終焉を憂いる気持ち。交差する感情を、少年達を通して実に巧みに描いている為、ほろ苦いソォダ水を口にした時のような、切ないが爽やかな清涼感。読了するのが惜しくて、ゆっくりと読んだ。天球儀文庫シリーズを通し、彼等と共に四季を巡れた事を幸運に思う。長野氏の本の中で、少年アリスの次に好きな作品。

2014/10/07

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