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赤い水、黒い水

赤い水、黒い水

赤い水、黒い水

作家
鷺沢萠
水崎 真奈美
出版社
作品社
発売日
2004-02-20
ISBN
9784878936340
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赤い水、黒い水 / 感想・レビュー

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やすらぎ

鳥が空を舞う。それが2羽だとなぜ人は幸せな気持ちになるのだろう。誰しも心安らぐ潤いを求めているからだろうか。心を込めて育てるものはなぜ美味しく感じるのだろう。その愛が伝わっているからだろうか。水がなければ生きていけない。動植物も人間も。他者は私より恵まれていると思ってしまう。その感情がなくなることはない。どんな凪も波立つのである。各々の幸せがあるはずなのに自らの小ささに絶望してしまう。一本の矢が刺さってしまえば終わるものばかりだというのに。人は何を守っていたのかさえ見失ってしまうのか。深く考えさせられる。

2023/05/20

ひめか*

これは9.11の影響を受けて書かれた物語なのね。あとがきを読んで知りました。薄い絵本のような本なのだけど、これ一冊だけで日本語の他に韓国語と英語での表記もついている。物語内容としてはイソップ童話やおとぎ話のような感じ。みんなが一生懸命働いているから美味しい葡萄酒も飲めるし、幸せな暮らしができる。国を守るためには戦争に勝たなければならない。王は戦に勝って敬われるけれど、幸せではなくなってしまう。戦のせいで葡萄酒も、欲しかった黒い水も失い、それ以上のたくさんのものを失う。幸せって何だろう。重たい話でした。

2014/09/25

masa@レビューお休み中

絵本というより童話的色彩が強いか。鷺沢萠が9.11、アメリカ同時多発テロを契機にメッセージを伝えるべく書いた一冊。ある国の葡萄を作る農夫、そしてその国を治める王様の想いや行動を描いている。いくつかの布石はあるのだが、意識して何かを読み込むというよりも感じるままに読んでいく方が良い気がする。人間の過ちというのはいつの時代も変わらない。過去の記録も記憶も、人間の欲望の前では何の役にも立たない。役に立つのは、己の感情であり、経験でしかない。消せない過ちは、過ちとして認めて背負っていくしかないんだ…。

2012/07/01

いちの

率直な言葉で綴られたメッセージ絵本。個人的にも、21世紀になっても紛争が起き続ける理由がよく分からない。私たちは言葉を持ち、交渉術を身につけ、違いを受け入れられる時代の人間のはず。鷺沢さんが今も生きていたらどう感じるんだろう?

2022/02/23

CaLiLa

宗教が違えば溝ができる、黒い水(石油=利権)が絡めば戦争が起きる。結果は両者痛み分け……。なんて書くとクリスチャンからもムスリムからも批判がありそう(苦笑)  ともかく、9.11以降のテロとソレに対する報復の泥沼を思えば、そのバカバカしさを予言した本な気がする。  今気付いたが、9.11とは…皮肉な日にちだなぁ(苦笑)

2012/09/30

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