日本の名随筆 (別巻39) 化粧
日本の名随筆 (別巻39) 化粧 / 感想・レビュー
あ げ こ
佐多稲子の怜悧さが際立つ。思慮深い目。しっかりと見ている。変化を否定せず、その先にこそ発展があると、見出している。書かれた時代を考える事なく、今にあるまま好ましく読む。津村節子の「天職」もいい。死者に施す化粧。冷たく硬直した死の表情を解し、近しい者達の思うその人、命あった頃のその人となるよう。見送る者達の為、施す化粧。淡々と続く言葉には、生者の側で死を間近で見続けて来たものの、冷静さがあった。死の唐突さを知るものの、厳しさがあった。慰めの在り方を知り、その空しさと心強さを知るものの、穏やかな共鳴があった。
2016/07/10
nanaco-bookworm
昨秋京都に用事で出かけた際つるかめ書房という古本屋で気に入り購入。読了後、強いインパクトや為になった感はなかったものの、太田治子さん大橋歩さん津島祐子さん美輪明宏さん森遥子さん佐多稲子等沢山の方々の名随筆を味わえ楽しかったので読んで損したとは思わない。そのうちの一人田中美津さんというウーマンリブの伝説のリーダーに興味を持って調べたら吉祥寺で週末にトークイベントと映画があると知り不思議な縁を感じた。1994年発行。適度な古さが心地よい。
2020/03/07
円花
厚化粧をして塗り固めるよりも、薄化粧をして内面からにじみ出る美しさを磨け、といった主旨の文が多かったように感じました。中でも「自分の顔とのつきあい方」は一番共感でき、コンタクトレンズに対する過多な期待と、現実直視による絶望は本当にもう自分のことかと・・・。「自分の顔をかわいがるための化粧」にしていきたいですねー。名随筆シリーズ初めて読んだのですが、「日記」とか「散歩」とかも面白そうなので読んでみようと思います。
2013/09/06
madhatter
図書館本。
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