不在の騎士 (イタリア叢書 8)
不在の騎士 (イタリア叢書 8) / 感想・レビュー
袖崎いたる
円卓の騎士物語における勲を求めて冒険の旅をするという構図が見られた。円卓の騎士物語と異なっているのは、理想像としての騎士はなく、いかにも史実にありそうな俗っぽい魂胆や汗臭い陣中を語っている点だろうか。タイトルにある「不在の騎士」とは、主従それぞれが身体の不在と精神の不在という吊り合いで人物が造形されてることと、<イマココ>にありながらここにいないという感覚に対して、しかし<イマココ>に実在しているのだという存在の繋留を何で以て行うのかを、騎士の身分を保ち得るような、倫理的な約束でもって探究するという印象。
2015/06/24
shiaruvy
【1989.05.15 初版】 子供時代の刷り込みなのか,カルヴィーノ作品にはわくわくする。 お宝本!
2017/08/15
メイロング
貫かれる濃厚なテーマに酔い痴れる。でもタッチは軽くて、すいすい読めてしまう。落語の「粗忽長屋」をもっと煮詰めたら、こんな作品になるかな。ブラダマンテが超乙女。グルドゥルーの立ち振る舞いは、まさに落語の与太郎そっくり。主役のアジルルフォはかわいいんだけど、他のキャラとは一線を画すところがかっこいい。語り手の語り口、テンポの良さもグッド。
2012/02/03
更新停止中
モンティパイソンだこれは。最初の数行でもうパイソン。ギリアムのアニメーションまで出てくる完璧なパイソン。こんなにもパイソンなのに何でこんな哀しみが漂い続けて美しいのか意味分からない(誉めている)。すごい。
2011/02/10
のうみそしる
こんなに感動したのは久しぶりだ。難しい漢字がいくつかあるにせよ、地の文がですます調で読み易かった。そして語り手の存在を際立たせていく手法がとても良い。最後の場面でグルドゥルーが騎士を探しているときの台詞が印象に残った。
2010/10/05
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