池澤夏樹詩集成
池澤夏樹詩集成 / 感想・レビュー
marimo
★★☆ 池澤夏樹さんの世界には小説から入って、詩に触れたのは本作が初めて。あちらのほうにある暗闇からこちらを見つめる目のような、静かに晴れ渡った空に浮かぶ一片の雨雲のような、少しの不安を孕んだ言葉だと感じる。次々と提示される不思議な世界に頭がついていけないことも……。印象に残ったのは以下の作品。「砂」「海神」「七つの夜」「箱の物語」『満点の感情』より「第八 物語」「擬似伝説 島の起源」
2015/12/29
たいちうみ
池澤さんの書く詩には、ずいぶんと濃い影の色が感じられる。それは、光がささない空間であったり、強い日差しが地面に落とした影であったり。現実に見える世界のなかにいくぶんか幻想を落として混ぜ込んだ世界。洗練されていて、静けさと乾きと湿り気を併せ持っている。
2011/12/10
懐古民K.S
池澤が「書けなくなった」と言った詩の集成。池澤のイデオロギー及び文学観(付録にあった三島由紀夫の小説は小説擬きだとか言う意見、代表作であるマシアス・ギリの失脚がガルシア・マルケスのパクリである件や、世界文学観)には吉田満の「戦艦大和ノ最期」の描写同様賛同出来ないが、詩は素晴らしかった。特に「もっとも長い川に関する省察」の詩、「葡萄」、「シェイク・イブラヒム 最後の声」が良かった。早く池澤には「満天の感情」を仕上げて欲しい。
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