皆川博子コレクション (1)
皆川博子コレクション (1) / 感想・レビュー
文庫フリーク@灯れ松明の火
72年デビューされた皆川さんの70〜80年代初期作品集。70年代前後の西村京太郎さん・森村誠一さんに代表されるミステリーを考えると、どこか異端な皆川ミステリーが売れなかったのも解る気がする。表題作はバイクを使ったミステリー。メッサー・シュミットという三輪の車は思わず検索。『死の泉』から入り『薔薇密室』で虜になった私。これまで読んだ皆川作品は、夢中にさせながらも、一定以上は踏み込ませない氷の壁《静謐な狂気》を感じさせた。比較すると初期作品はミステリーの中に異端感じるものの、《狂気》より《毒》と表現した→
2013/09/10
けい
皆川女史の初期の作品を集めた作品集。初期の作品がどんな感じか知りたくて読み始めたのですが、独占欲、自己顕示欲、男女の情念の凄まじく入り混じった長短編の組み合わせは圧巻の一言。精読すればするほど、背景や情景を深めていく文章はすでにありました。バイクに精通した文章を書かれている所も、意外な作者の一面に触れる事に。2段組445頁の長丁場は時間、気力とも消費させますが、十二分に見合う作品群。コレクションの名にふさわしい作品でした。続編も読んでいきます。
2015/01/18
藤月はな(灯れ松明の火)
装丁が素晴らしすぎる!Part1、2は単行本、作品精華で既読のもの、多し。「火の宴」の主人公の副社長とその妻へのどっちつかずでどっちも想っている心理描写に頷き、「花婚式」は赤江瀑作品にも似た残酷な妖美さを感じさせる作品。「サッフォの髪は火と燃えて」は題名の含みが意味深すぎます。「蛙」は子供の罪を知らないが故の残酷さとどんでん返しに驚かされます。しかし、「ガラスの柩」は自分から何もかも奪う遠因の癖に知らずに傍に居てくれる相手へ逃げられない罪悪を追わせようとする憎悪は共感するがゆえに心が震えてなりません。
2013/05/21
mii22.
皆川さんの初期の作品から読んでみたくて、ついにコレクション1を手に取りました。表題の『ライダーは闇に消えた』は、爽やかさすら感じる、バイクに熱狂する若者たちを描いた青春ミステリーで、伏線回収もしっかりとあり、皆川作品としては新鮮でした。その他の短篇は男女の情念、欲望、嫉妬、悪意が渦巻く、皆川博子の濃い世界があり、読み進めるほどに最後にグサッと斬られ、突き落とされを繰り返し、一冊読み終える頃はもうクタクタです。もちろん次も読みます!
2015/04/15
ナチュラ
中編「ライダーは闇に消えた」と短編13話が入っている。 30~40年以上前の作品であるが、古さを感じさせない。男女の情、嫉妬、復讐 人間の黒い部分が見事に描かれていて背筋が寒くなるミステリー。 皆川博子さんの怖くて美しい世界観を堪能した。
2016/07/21
感想・レビューをもっと見る